投資におけるリスクの考え方|種類やリスクを抑えた運用方法も紹介

投資におけるリスクの考え方|種類やリスクを抑えた運用方法も紹介

老後資金などを用意する必要性は理解しているものの、「投資は危険だからやりたくない」と思っている人は、多いのではないでしょうか?

投資はリスクを伴うものです。しかし、リスクを少なくして運用することは十分可能です。

この記事では、投資にはどのようなリスクがあるのか投資のリスクを抑えて運用するにはどうしたら良いのかなどについて分かりやすく解説します。

目次

投資におけるリスクの考え方

投資におけるリスクの考え方

投資におけるリスクとは、「収益はプラスになるかもしれないけれど、元本割れをするかもしれない」という不確実性のことをいいます。しかし、必ずしも元本割れすることや危険性のことを指すわけではありません。そこで、リスクについての考え方を身に付けたうえで、自身に合った投資をすることが大切です。

リスクとリターンについて

投資をした結果のことを「リターン」といい、投資をした結果、利益が出れば「プラスのリターン」、損失が発生すれば「マイナスのリターン」と表現します。そして、「リスク」とは、プラスのリターンとマイナスのリターンの振れ幅のことをいいます。

例えば、以下のような値動きをする2つの投資信託があったとすると、基準価格の振れ幅が大きい右側の投資信託の方が「リスクが高い」といえます。

リスクとリターンの振れ幅の関係

また、リスクとリターンは基本的に表裏一体の関係にあるため、リターンが大きい金融商品はリスクも大きくなり、リターンが小さい金融商品はリスクも小さくなります。つまり、リターンだけが一方的に大きく、リスクが小さいといった金融商品は存在しないということになります。

ローリスクの金融商品の特徴

ローリスクの金融商品としては、満期まで持っていれば元本割れをすることがない金融商品、利益は小さいものの損失が発生する可能性も極めて小さい金融商品などが該当します。

【代表的なローリスクの金融商品】

  • 預貯金
  • 保険商品
  • 個人年金保険
  • 国内債券
  • 国内債券投資信託など

ローリスクの金融商品は、投資で元本割れをしたくない人、利益が小さいためコツコツと長期的に投資できる人に向いている金融商品です。

ハイリスクの金融商品の特徴

ハイリスクの金融商品は、大きな利益を期待できる反面、大きな損失が発生する可能性もある、というタイプの金融商品のことです。

【代表的なハイリスクの金融商品】

  • 株式投資
  • 国内外の株式投資信託

ハイリスクの金融商品は、損失が発生する可能性があるため、年収の高い人、資産を多く持っている人など、金銭的に余裕があって損失が大きくなってもカバーできる人に向いています

また損失があっても、損失を挽回する投資時間が長く残されている20代などの若い人も、ハイリスクな金融商品を活用するには向いています。なお、ローリスクとハイリスクのどちらにも該当しない投資信託(投信)、外国債券、REIT(リート)といった、ミドルリスクの金融商品もあります。

投資リスクの種類

投資リスクの種類

主な投資リスクの種類には、以下のようなものが挙げられます。

  • 信用リスク
    債券を発行した国や企業が財政難などの理由で、投資家に約束通りの利息や償還金の支払いができなくなる可能性のことをいいます。
  • 価格変動リスク
    株式や債券などの価格が、国内外の政治、経済情勢、企業業績、要人発言などの影響を受けて変動する可能性のことをいいます。
  • 為替変動リスク
    外国通貨建ての資産は、為替レートの影響を受けます。運用の結果収益がプラスでも、為替レートが円高傾向にある場合、円換算すると元本割れすることがあります。
  • 金利変動リスク
    金利が変動する可能性のことをいいます。一般的に、債券は金利が上昇すれば価格が下落し、金利が低下すれば価格が上昇します。
  • カントリーリスク
    投資先の国、地域の政治、経済情勢の変化で、その国の証券市場、債券市場に混乱が生じると、投資した資産の価格に影響を与えることがあります。

投資の種類別に想定されるリスク

投資の種類別に想定されるリスク

主な投資の種類別に想定できるリスクをまとめると、以下のようになります。

  国内投資信託 外国投資信託 国内株式 外国株式 国内債券 海外債券
信用リスク
価格変動リスク
為替変動リスク × × ×
金利変動リスク
カントリーリスク × × ×

リスクを抑えた運用方法

リスクを抑えた運用方法

リスクとリターンは、表裏一体の関係にある以上、相応のリターンを得るためには、それなりのリスクを想定しておく必要があります。リスクなしで投資することはできませんが、リスクの少ない投資をすることは可能です。

投資のリスクを抑えるためにはどのような方法があるのか、どの金融商品でその方法が使えるのかについて、解説します。

投資先を分散させる方法

投資の格言に、「卵は1つの籠に盛るな」というものがあります。1つの籠に卵を入れておくと、落としたときに全部ダメになってしまいます。しかし、例えば、初めから籠を4つに分けておけば、1つの籠を落としたとしても、残りの3つの籠は無事で済みます。それでは、この籠を、投資商品に置き換えてみてください。

4つの金融商品を持っていれば、1つの金融商品で損失が発生していても、残りの3つの金融商品で利益が出ていれば、トータルとしてはプラスになる可能性があります。このように、分散投資の有効性を示しているのが冒頭の格言です。

1つの商品だけではなく、複数の商品に分けてリスク分散し運用することを「分散投資」といいます。分散投資をするには、投資信託を活用するのが最も簡単ですが、株式と債券を組み合わせても、分散投資をすることが可能です。

投資信託

投資信託は、プロのファンドマネージャーが投資信託の方針に基づいて、さまざまな企業、国に分散投資してくれます。「複数の銘柄に分散投資が必要なのは分かるものの、何を選んでいいのか分からない」という人は投資信託がおすすめです。投資信託は、投資商品の中では投資をプロにお任せするものなので、比較的安全な金融商品です。しかし、プロでも失敗することがあるため、過度な期待は禁物です。

【投資信託がおすすめの人】

  • 投資初心者であるが、投資を検討している人
  • 忙しくて個別の銘柄まで見ている時間はないが、投資の必要性を感じている人

株式と債券などを組み合わせる

分散投資は、株式や債券を組み合わせることでもできます。分散投資を投資信託のようにプロに任せず、自身でするときには、値動きの特長が異なる金融商品を組み合わせることがポイントです。

株式や債券を組み合わせることで分散投資の効果が働く理由は、原則として株式と債券は相反する値動きをするからです。株式市場が好調なときにはとにかく利益が狙える株式に買いが集中しますが、ひとたび極端なインフレなどが発生すると、投資家はリスクが高い株式投資を回避します。大きな利益はなくても、リスクの小さい債券に資産を移動させるといった傾向があるためです。

また、株式の個別銘柄においても、分散投資をすることが可能です。例えば、円安になると株価が上がる企業と、円高になると株価が上がる企業を組み合わせることも分散投資のひとつです。

分散投資の基本は、値動きの特長が異なる資産を複数組み合わせることです。分散投資が大切だからといって、円安になったら値上がりする企業の株式ばかり持っていると、円高局面になったときに、所有している全ての銘柄の株価が下がり、損失が拡大するだけで、分散投資の効果がなくなるからです。

ただし、個別銘柄で分散投資をするには、さまざまな資産について知見を持っている必要があり、投資上級者でなければ難しいかもしれません。

【株式や債券を組み合わせた分散投資がおすすめの人】

  • 投資上級者
  • 投資について十分な知識を得られる時間や環境が整っている人

投資する時間を分散させる方法

投資する時間を分散させる方法は「ドルコスト平均法」といわれており、投資のリスクを抑える効果があります。簡単にいうと、積立投資のように一定額を定期的に購入することであり、「時間の分散」ともいわれています。

株式や投資信託のように値動きする金融商品は、毎月一定額の投資をするだけで、金融商品の平均購入単価を下げる効果があります。

投資信託

投資信託は、すでに分散投資の効果が働いている商品なので、毎月積立購入など、投資時期をずらして積立投資することで、さらにリスクを抑えた運用ができます。投資信託は、時間の分散と最も相性の良い金融商品です。

投資信託の基準価格が下落している間は、どうしても投資初心者の人はストレスを感じてしまいがちです。しかし、そうした下落局面であっても、たくさんの口数を購入しておくことが、時間の分散の効果ともいえます。投資信託で多くの口数を持っていれば、ひとたび基準価格の回復局面が訪れたときには、大きな利益が期待できます。

時間の分散の効果は、一時的な下落局面を乗り越えて初めて感じられるものです。短期的な値動きで一喜一憂することがないよう、まずは少額からスタートしてみましょう。

【投資信託がおすすめの人】

  • 老後資金、大学の入学金・授業料など長期的な投資目標がある人
  • コツコツと確実に資産を積み上げていきたい人

株式投資

株式投資は、一般的にリスクの高い投資に分類されますが、とくに売買を前提とせず、投資した企業の利益の一部が還元される分配金を受け取る方法でも利益を得られます。例えば、一口50円の配当金を還元している企業の株を1000株持っていたとすれば、単純計算で毎年5万円を受け取ることができます。

企業の株式をコツコツと購入し、保有株式数を積み上げて配当金を狙うといった方法も有効的です。株主優待を用意している企業では、株主優待と配当金をダブルで受け取ることもできます。ただし配当金は、企業業績次第で急遽打ち切りになったりする可能性が十分あるので、注意が必要です。

【株式投資がおすすめの人】

  • 株主優待を楽しみたい人
  • 自分で銘柄をじっくり選んで、投資をしたい人

長期的に投資を続ける方法

長期間運用することも、リスクを抑えるひとつの方法です。投資商品は、長期の間に利益がプラスになる時期もあれば、マイナスになる時期もあります。しかし投資商品は、長期間運用していると、その間にプラスとマイナスを相殺し合い、徐々に利益が増えていく傾向にあります。長期投資において最も相性の良い投資方法は「投資信託」です。

投資信託

投資信託は、商品それ自体に分散投資が働いており、時間の分散と長期投資を組み合わせることでリスクを抑え、かつ安定したリターンを期待できます。「イデコ」や「NISA(ニーサ)」といった税制優遇制度を組み合わせると、さらに投資効果が高まります。

イデコは、掛け金が全額所得控除となり、会社員は税金の還付に、個人事業主・フリーランスは掛け金を経費にすることで、税額を抑えられます。またNISAは、年間一定の投資額までは運用益に税金がかからないといった点が、最大の特徴です。長期投資を検討するなら、これらの税制優遇制度と組み合わせるとさらにお得に投資がスタートできます。

投資信託の長期投資は、短期的な値動きに一喜一憂せず、継続することがポイントです。長期投資の感覚がつかめるまでは、少額でスタートすることをおすすめします。

【投資信託がおすすめの人】

  • NISAの活用を検討している人
  • 個人事業主、フリーランス、または会社員でイデコの利用が可能な人

外貨建て商品

外国債券、外国株式、外国投資信託といった為替リスクのある商品は、長期投資前提で運用することをおすすめします。外貨建て商品は、単純にリスクとリターンが高いので、長期投資を活用すれば、リスクを抑えられますが、それだけではありません。

外貨建て商品は、大きな利益を得られる可能性のある投資商品ですが、円高の時期に円で受け取ってしまうと、外貨建てではプラスだったにもかかわらず、為替レートで円に交換したらマイナスになることがあります。また、自身が最も必要な時期に、必ずしも円安になっているとは限りません。外貨建て商品は、為替レートが有利な時期を見極められるよう、少し受け取りたい時期に余裕を持たせるといったことを前提に、投資を始めるのがおすすめです。

【外貨建て商品がおすすめの人】

  • 為替レートが良い時期に受け取れれば良く、あまり受け取り時期にはこだわらない人
  • 投資で積極的に利益を取りに行きたい人

まとめ

投資において、リスクとリターンは表裏一体の関係にあるため、投資で収益を期待する以上、リスクは避けて通れないものです。投資で大切なことは、全ての金融商品には特有のリスクがあり、そのリスクをいかに少なくして運用するかといったことが大切です。

「投資と名の付くものは、全て危険なものである」と、投資全般を「悪」とするのではなく、リスクを理解し、分散投資時間の分散(積立投資)長期投資の3つの方法を活用しながら自身に合った投資を取り入れていくことが大切です。

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