鳩山元総理が韓国TVで「日本政府の非礼」を詫び、「無限責任」を主張…土下座外交の歴史

日本の「無限責任」を主張しだした

「また”あいつ”か……」

鳩山由紀夫(友紀夫)元首相がわざわざ韓国へ出向き、慰安婦問題について日本側の「無限責任」を主張したと聞けば、誰もが冒頭のような嘆息交じりの感想をこぼすに違いない。無限責任とは、加害者とみなされたものは、被害者が「もう平気です、謝っていただかなくて結構です」と言うその時まで、永久に謝罪し続けなければならないことを意味する。

2022年5月に誕生した韓国の尹錫悦大統領の就任式に、「個人的に」招かれ訪韓した鳩山氏が、韓国のテレビ番組のインタビューを受けて発言したのがこの「無限責任」だ。

就任式前日には尹大統領と会談を行ったという。報道によれば尹大統領は鳩山氏に「韓日関係の先生になってほしい」と述べたというが、これが本当なら尹大統領の「人を見る目」や「日韓関係の見方」に強い懸念を抱かざるを得ない。

就任演説では「自由と人権、民主主義を重んじたい」と繰り返した尹大統領に、中国や北朝鮮と融和せず、日米韓3か国の連携を期待する声もある。だが、鳩山氏を「先生」と仰いでいるようでは、期待も差し引いて考えねばならないだろう。

さらに鳩山氏はインタビュー番組で、文在寅政権時に駐日大使に任命された姜昌一氏に謝罪。「大使に日本政府が冷たく接したことについて申し訳ない」と述べた。

だが姜昌一氏はかつて、国会議員として「韓国人は戦争の主犯は天皇だと思っている」と発言したり、2011年には国会議員として北方領土を日本の許可なしに訪問、「北方領土はロシア領だ」などと発言したこともある、本来、駐日大使にふさわしくない人物だ。

外交関係においては、大使を任命する際には赴任先の政府の同意(アグレマン)を得てから発表するのが通例であるにもかかわらず、文政権は日本の同意を得ないまま「駐日大使内定」情報を発表した。

確かに日本側が姜昌一大使からの面会要請に応じないなど、冷たい対応を取ったのは事実だが、それには相応の理由があったのだ。鳩山氏がそうした経緯を知らないはずはない。知らないで言っているとすればそれこそ問題だ。到底、「日韓関係の先生」になど、なれるはずもない。

韓国に都合のいいことばかりを元首相の肩書で言い募るため、鳩山氏は使い勝手のよい人物で、だからこそ「先生」などとおだてて見せるのだろうが、日本から見れば鳩山氏ほど「日韓関係の先生」にふさわしくない人物はいないだろう。

今回の「鳩山訪韓」の模様が日本で報じられると、ネット上には「いい加減にしろ」「元首相の肩書を剥奪できないのか」といった怒りの声が多数書き込まれた。これまでの氏の行いを振り返れば、無理もない反応だ。

鳩山元首相の韓国「土下座外交」の歴史

鳩山元首相の日韓間における”前科”は枚挙にいとまがない。

2005年、島根県が2月22日を「竹島の日」に制定し、韓国側が対抗措置として竹島周辺の海底に韓国名をつけようと画策していたさなかの2006年5月3日、当時民主党の幹事長を務めていた鳩山氏は韓国・ソウルの韓明淑国務総理のもとを訪ね、「韓国国民が日本から再び侵略を受けるとの考えを起こしたのは、日本外交の失敗です」と語っている。

さらに鳩山氏は、「すべての領土問題は根本的に歴史から始まる」「日本側が歴史的事実をより正確に理解するよう、努力する必要がある」「最近、日本はアジア外交がうまくいっておらず、近隣の国民から相当な反発を招来するなど、厳しい局面に直面している」「過去の歴史に対する誤った認識は、結果的には日本全体の国益を損失することになる」とひたすら日本の姿勢を批判した。

すべての領土問題が歴史問題につながっているのはその通りかもしれないが、原因は韓国側にある。にもかかわらず、日韓間で竹島に関する係争がある中での鳩山氏の発言は、明らかに「領土問題の原因は日本の主張にある」とするものだ。

そもそも鳩山氏は領土に関する正確な知識を持っていない。韓国に帰化した元日本人の政治学者・保坂祐二氏から「竹島は韓国領」と教えられた鳩山氏は「竹島は韓国領である」との見解を持っていた、と指摘される(下條正男『竹島VS独島』ワニプラス新書)。

事実、2018年には自身のツイッターで「アメリカは2008年に竹島を韓国領と決めた」との誤った認識を書き込み、それについて問われた鳩山氏は「日本固有の領土とは言えないことは明らか」と答えている。こうした認識で首相を務めていたのかと思うと、背筋が寒くなるというものだ。

2014年には、「鳩山元首相が韓国で『反日講演』を行った」と報じられている。当時の報道によれば、鳩山氏は釜山のホテルで開かれた「ハンギョレ釜山国際シンポジウム」で基調演説を行い、「(安倍政権が)時代に逆行する政策を続けている」「(自身が首相の頃は)韓日、中日ともに良好な関係にあったことに照らしてみれば、主に日本側に問題がある」などと批判。

あるいは慰安婦問題でも、2015年に西大門刑務所の跡地を訪ねた鳩山氏は、日本からの独立運動の象徴的存在である柳寛順の監房の前にひざまずき、事実上の「謝罪」を行っている。これはもはや「土下座」に等しい意味合いを帯びており、当時、「そこまでする必要があるのか」「自虐が過ぎる」と鳩山氏に対する批判の声が上がった。

鳩山氏の「対韓土下座」はもはやネットミーム、つまり「お決まりのネタ」と化している。

2020年には、韓国の植物園に「韓国人慰安婦少女像」の前で土下座するスーツの男性の銅像が作られた。これは当初、当時の安倍首相を模したものとされ、ネットを介して日本で大炎上するに至った。

像を制作した彫刻家は「西ドイツの(ブラント)首相がユダヤ人を賛える慰霊塔の前でひざまずき謝罪する姿から作品のインスピレーションを得た」と言っているが、土下座像の人物の顔は安倍首相に似ていたのだ。当時日本のネット民はこぞって「鳩山がモデルだったら問題なかったのに……」と述べた。それほどまでに、鳩山氏の韓国への「謝罪」しぐさは定番となっていたのである。

アメリカからは「ルーピー」韓国からは「良心的日本人」

首相時代、アメリカからは「ルーピー」、つまり壊れたテープレコーダーのように同じことを繰り返したり、酔っ払って何を言っているのかわからないような状態だと評された鳩山氏だが、韓国からは「良心的日本人」と呼ばれている。

「良心的日本人」とは、韓国の立場を重んじ、特に日韓併合期の日本の施策について日本を加害者の立場に置き、韓国に謝罪し、慰安婦問題、竹島問題といった両国が対立するテーマでも、日本人でありながらもれなく韓国側に立つ人々を指す言葉だ。「基本的に良心のない日本人の中で、珍しく良心を持つ、韓国側の歴史認識に理解のある人々」というわけだ。

いくら鳩山氏であれ、日本国民が選挙で選んだ政権の首相を務めた人物を、外国の新聞から「ルーピー」などと不名誉なあだ名をつけられるのは、気分のいいものではない。「良心的日本人」という響きもまた、響きこそポジティブながら、決して看過できないレッテルである。結局は「韓国にとって都合がいい」だけの「良心」だからだ。

日韓関係では日本を加害者側に置き、「加害者は被害者に永久に謝罪しなければならない」と言う一方、2022年2月24日から始まったロシアによるウクライナ侵攻については加害者批判をしないのが鳩山氏である。

ロシアの見解に沿って「ウクライナが親露派住民を虐殺してきたことが、ロシア侵攻の原因の一つだ」などと述べ、「アメリカがウクライナを支援するから戦争が長引く」などと、明らかに加害者寄りの発言を繰り返している。

2014年にロシアがクリミア半島を武力制圧した際にも、日本政府の反対を押し切ってクリミアを訪問し、「(ロシアが行った)世論調査では、クリミア住民は編入を希望した」と発言。そのうえ、「日本人は洗脳されている。ロシアは正しい」とまで言ってのけた。

恣意的に発動される「良心」ほど厄介なものはない。

「友愛」が聞いて呆れる鳩山元首相の言動。「元首相」の肩書で、国際社会で問題発言を繰り返すことにより、日本の国益を損なっていることは明らかだ。彼を「首相」にしてしまったのは有権者である我々の責任だが、その咎を未来永劫背負うとなれば、あまりに大きな十字架である。

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