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「無能すぎる…」安倍元首相の銃撃事件で大失態で「SP・奈良県警」の責任をとらされる警察幹部リスト

政治家には常に命を狙われるリスクがある

7月8日に凶弾に倒れた安倍晋三元首相が、常々、命を狙われる政治家のリスクを感じていたことは知られている。5・15事件や2・26事件に象徴される過去の襲撃事件に加え、祖父の岸信介元首相もナイフで襲われており、トップに立てば危険性が増すことも理解していたようだ。増してや安倍元首相のように、国論を二分するような政策や信念を貫こうとするなら、警護・警備態勢による安全確保が前提となるのは言うまでもない。9年近く頂点に立った安倍氏はSP(警護官)をはじめとする警察を信頼していたとのことだが、最期はそこに落とし穴があったことが露呈されてしまった。

「警察としての責任を果たせなかったことを極めて重く受け止めている」。警察庁の中村格長官は7月12日、元首相銃撃事件の責任を警察トップとして認める異例の記者会見を開いた。昨年9月に就任した中村氏は刑事畑が長いが、2009年9月から内閣官房長官秘書官として政権中枢で働き、安倍政権時代には菅義偉官房長官にも仕えた。それだけに「警察庁としての関与のあり方にも問題があった。長官として慚愧に堪えない。責任は誠に重いと考えている」と険しい表情を見せた。

どう考えても不備があり過ぎた当日の警備体制

安倍元首相の銃撃事件で問題視されているポイントは、4つある。まず1つ目は、安倍元首相の演説地である奈良市での警護・警備態勢に問題がなかったのかという点だ。安倍氏は参院選候補の応援のため大和西大寺駅のロータリーで演説しているところを背後から銃撃された。警視庁から専属のSP(警護官)が護衛し、地元・奈良県警の警察官が警護に当たっていたが、360度が見渡させる場所に安倍氏を立たせながら後方の警戒は脆弱で、人や自転車などが自由に行き来できる状況だった。銃撃した元海上自衛官の男が、警戒の薄い背後から3〜5メートルの距離まで容易に近づいていく模様が確認されている。どこまでが「安全」で、どこからが「危険」なゾーンと警察が考えていたのか。配置上のミスが浮き上がる。

2つ目のポイントは、1回目の発砲から致命傷につながった2発目まで約3秒間の「空白」があったにもかかわらず、護衛の反応が遅れたことだ。1回目の発砲音が鳴り響いた直後に動き出したSPや警察官は少なく、その時点で身を挺して安倍氏を守っていれば結末は異なっていたとの声は少なくない。SPをはじめ警護・警備にあたる警察官が安倍氏に覆い被さる形で守ったり、屈ませたりして低い姿勢をとっていれば致命的な傷を負わなかった可能性は捨てきれず、その対応にミスはなかったのか。警戒は主に安倍氏の前方に集中しており、安倍氏の後方に車を用意してカバーするなどの方法も考えられたはずである。また、今回は単独犯だったものの、もしも複数犯が同時に襲撃してきていれば選挙関係者のみならず、一般の聴衆にも被害が拡大していたことも予想される。

3つ目は、そもそも政治家の警護・警備態勢はこれまで通りのマニュアルで良いのかという点だ。警察庁は警察官の態勢や配置に加え、警護措置要領の見直しを検討することにしている。だが、有権者と握手やグータッチ、記念撮影に応じる政治家と一般市民の距離は選挙や視察などの際には一気に縮む。警察庁が2013年3月に発行した「警備情勢を顧みて」という冊子の第6章には、同年1月に三重・伊勢神宮を参拝した当時の安倍首相の写真が掲載されているが、その時も参拝客らと安倍氏の距離は手を伸ばせば届く位置にあった。荷物検査やボディチェックがなく、大勢の人々と触れあう場面では、警護を難しくさせるのは間違いない。現在、SPがついている閣僚の1人は「我々は有権者との距離を縮めたいが、警護・警備上は大きな問題があることはわかっている。しかし、いつも一般の人々を疑うというのは抵抗がある」と苦悩を打ち明ける。

銃を買うことはできなくても簡単につくれてしまう日本の現実

そして、4つ目のポイントは手製の銃がインターネット上の知識で製造できてしまうという点だ。逮捕された男は動画で銃の製造方法を確認し、ネットから火薬を入手して弾に用いていたという。昨年からの約1年間に複数丁も手製の銃を製造し、パソコンなどには銃の製造に関する検索履歴も残っていた。日頃から警察は銃の密輸や売買といった取り締まりに目を光らせているが、自作で銃を製造されてしまえばチェックは届きにくい。

自民党の高市早苗政調会長は7月12日、ツイッターで「警護の在り方も議論されるでしょうが、ネット情報と簡単に入手できる材料で殺傷力の強い物を作れる現状への対策も必要です」と指摘し、党としても対策を検討していく考えを示した。今回の製造方法とは違うものの、これまでも3Dプリンターを用いた銃の製造事件は相次いでおり、その対策が遅れてきた点は否めない。銃が厳しく規制されているはずの日本で、手製の銃が相次いで製造されているという現実を踏まえた規制のあり方とともに、身の安全の確保策が求められることになる。

むろん、日本で首相やその経験者が襲われるのは初めてではない。1921年に原敬首相が東京駅で刺殺され、30年11月には浜口雄幸首相が同じく東京駅のホームで銃撃に遭い、翌年死亡。32年に海軍の青年将校らが首相官邸に乱入し、犬養毅首相が殺害される5・15事件が起き、36年には高橋是清が2・26事件で凶刃に倒れた。

戦後でも60年に安倍元首相の祖父にあたる岸信介首相が暴漢にナイフで刺され重傷を負い、75年には三木武夫首相が男に殴られ負傷している。それぞれの背景や状況は異なっているが、「選挙の際の警護・警備は難しい」というひと言で済ませて良いのかという疑問も残る。

責任をとることになる警察幹部はこの人だ

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この記事の著者
佐藤健太

ライフプランのFP相談サービス『マネーセージ』(https://moneysage.jp)執行役員(CMO)。心理カウンセラー・デジタル×教育アナリスト。社会問題から政治・経済まで幅広いテーマでソーシャルリスニングも用いた分析を行い、各種コンサルティングも担う。様々なメディアでコラムニストとしても活躍している

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