それでも安倍晋三は凄かった! 「アベノミクス人生劇場、これにて幕引き」…個人投資家感涙
日本中を震撼させた安倍晋三元首相の暗殺は、欧米諸国でも広く報じられ、世界的な事件となった。それも、第二次安倍政権時代のアベノミクスによる成果があってこそだろう。その効果を肌で感じていた個人投資家もたくさんいたはずだ。
今回は、ちょうどアベノミクスが日本を席巻していた最中に財を築き、見事FIREを達成したおけいどん(桶井 道)氏をお招きし、個人投資家による視点から故・安倍元首相の成果を振り返りっていただいたーー。
アベノミクス相場は個人投資家にとって、またとない僥倖だった
アベノミクスは「大胆な金融政策(金融緩和)」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」の「3本の矢」で構成されていました。
なかでも私が最も評価しているのは、金融緩和政策です。1ドル70~80円台という極端な円高、日経平均株価8000~9000円台という極端な株安に苦しんでいた日本経済は、アベノミクス下の金融緩和によって息を吹き返しました。ドル円為替レートは、1ドル100~110円台に落ち着き、日経平均株価は約2.5倍にもなりました。
当初は金融緩和による株高で「バブル」とも言われましたが、やがて企業業績が追い付きましたので、金融緩和は成功だったといえます。個人投資家の多くは、アベノミクス相場で利益を上げることができたでしょう。
また、「貯蓄から投資へ」との号令のもと、2014年に「一般NISA」、2018年に「つみたてNISA」と、それぞれの非課税制度が創設されました。主要証券会社の口座数(個人株主)は、第二次安倍政権誕生時の2012年12月には2107万口座だったところから、辞職時の2020年9月には2603万口座と約24%も増加しています。
つまりアベノミクスは、既存の投資家には利益の出しやすい相場をもたらし、新しい投資家層を発掘することにも大きく成功した、と言えるのではないでしょうか。
その上、所得税と地方税で異なる納税方式の選択が可能になりました。確定申告にて配当控除を受けて住民税申告不要を選択することで、さらなる節税も可能にしています。
意外と知られていない、マクロ経済に好影響を与えたアベノミクス政策
アベノミクスの成果には意外と知られていないものもありますので、ご紹介したいと思います。
安倍政権下で導入されたコーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードという2つの制度。とくに、コーポレートガバナンス・コードの導入によって企業に独立社外取締役の選任や業績連動報酬の採用、政策保有の解消を促進させ、リスクテイクを促し、企業経営の効率化を図ろうとしました。結果として、多くの日本企業が稼ぐ力を強めることができたのではないでしょうか。
また、GPIFの改革でポートフォリオを変更したことと、日本銀行のETF買い付けを実施したこと、いわゆる「2匹のクジラ」も忘れてはいけません。GPIFは、2014年10月に基本ポートフォリオを変更して、国内債券の比率を60%から35%に引き下げ、短期資産を5%からゼロに、国内株式および海外株式の比率をそれぞれ12%から25%に引き上げ、海外債券の比率を11%から15%に引き上げました。さらに、2020年4月、国内債券、海外債券、国内株式、海外株式の比率を各25%ずつとしました。日本銀行は株価が下落するとETFを大量に購入して株価下落を抑えました。この2つの公的マネーが日本株を支え、個人投資家にも安心感をもたらしました。
さらに、インバウンド政策に力を入れることにより、訪日外国人旅行客数が約4倍に増加。「爆買い」なる流行語が生まれるほど、彼らの消費意欲は旺盛でした。小売、外食、ホテル、交通など従来は内需頼みだった業界の業績にも貢献し、関連銘柄も賑わいました。
コロナ禍でも従来からの金融緩和を継続し、かつ米国など世界的に金融緩和も重なって、株価上昇をもたらしました。
安倍元首相は、コロナ対応に注力して休みを取られず働かれた結果持病を悪くされて辞職されてしまいましたが、日本経済と個人投資家に与えた好影響は計り知れません。
アベノミクスで投資スタイルを変えたことにより、FIREを達成できた
アベノミクス前まで、私は成長株からのキャピタルゲインを目的とした投資をしていましたが、アベノミクス以降、配当重視の投資に切り替えました。増配している企業を投資対象にしたのです。増配するためには、増収増益であること、財務基盤がしっかりしていることが必要で、アベノミクスにより復活した企業を探したというわけです。
FIRE志向のあった私には、配当金が生活費になるという考えもありました。結果、増収増益する企業は、株価成長もしましたし、増配で配当金も増えましたので、2度美味しい投資となりました。現在も、日本株に限らず、米国株など世界30ヵ国と地域に投資するなか、「増配」を意識しています。
私がFIREできたのも、アベノミクス相場で日本株が復活したからこそだと思います。今でも日経平均株価が1万円以下であれば、景気も悪く、成長を諦めた日々が継続していたでしょうから、FIREどころではないですね。
1ドル140円台にも達しそうな円安不況のなか、個人投資家がなすべきこと
昨今、ニュースでは「悪い円安」による経済への負の影響が語られています。しかし私は、経済情勢・政治情勢・国際情勢についてすべてニュースで見てはいますが、分析も予想もしません。投資はゴールベースですべきものであって、そのときどきの情勢は「ノイズ」のようなものだと考えています。例えば私の場合、投資のゴールとして「60歳で資産1億5000万円を最低目標、2億円をチャレンジ目標とし、年間配当金240万円(手取り)を必達」を掲げています。現在は資産1億2000万円、配当金180万円(2022年見込み・手取り)です。そのゴールと現在とのギャップを埋めるためにはどう投資すべきか? それだけを念頭に置いています。
例えば、米国株の場合、経済情勢を追えば、円安では投資しにくい感情が芽生えそうになりますが、それは違います。ゴールベースで考えれば、積立投資を止めないことが答えだと、明らかです。多くの方が、投資信託を積立投資しておられるでしょう。経済情勢により左右される必要はありません。年月と複利を味方に付けて、機械的に積立投資を継続するのが王道です。ただ、不景気で価格が大きく下がれば、追加でスポット買いする、変化を付けるとしたらこのくらいでしょう。投資は難しく考えずにシンプルでいいのです。
アベノミクス相場でFIREを達成した今、おけいどん氏が思うこととは
私はアベノミクスにより投資家として再起動できました。安倍元首相を個人的にお慕いしており、持病(内臓疾患)との戦いにおいても大変励まされました。安倍元首相やアベノミクスとの出会いがなければ、私は今の私に出会わなかったでしょう。FIREもできていなかったと思います。
安倍元首相には感謝の気持ちでいっぱいです。安倍元首相の投資促進へのご遺志を継ぎ、微力ながらも、投資に関する発信活動を継続することで、安倍元首相への恩返しに変えられればと願っています。安倍さん、本当に本当に有難うございました。私はあなたに救われました。私の心のなかで、功績、感謝、ご遺志はずっと生き続けます。
安倍元首相のご冥福を心からお祈り申し上げます。