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なぜ国は弱いものしかイジメないのか…フリーランスを地獄に落とす悪魔のインボイス制度

コロナ禍でも増えるフリーランス。経済規模は24兆円にも上る

 働き方が多様化する時代、スキルによっては高収入も得られるフリーランスが増加傾向にある。組織に属さず、自由度が高い「一匹狼」の働き方は、年功序列型人事・賃金システムに浸る人々にとっては魅力的に映る。しかし、収入を安定させるのは容易ではない上、取引先とのトラブルも絶えない。

 国は副業を推奨するとともに取引で不利益が生じないよう目を光らせているが、来年10月からは「フリーランスいじめ」とも指摘される新制度を導入するという。はたして、自由な働き方は守られるのか。 

 内閣官房によれば、フリーランスは「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義される。個人で事業を行うため働く時間や場所などの自由度が高い一方で、原則として労働関係法令が適用されないといったデメリットもある。

 クラウドソーシング事業を展開する「ランサーズ」が2021年11月に公表した実態調査によると、フリーランス人口は約1577万人で、経済規模は約24兆円に上る。900万人超だった15年から急増しており、コロナ禍で勢いはむしろ増している。

 人との新たな繋がりを持つことができる、能力を活用・向上させることができる、といったフリーランスの働き方に魅了される人々は少なくない。会社という組織に縛られたくない、もう上司に怒られるのはバカらしいとの理由から「解放」を求め、悠々自適の生活を送る人も続く。

 インターネットを通じて短期・単発の仕事を請け負い、個人で働く「ギグ・エコノミー」は拡大しており、スキルさえあれば億万長者になることもできる働き方は憧れの対象になりつつある。 

フリーランスは自由さが魅力だが、収入は安定せず、取引先とのトラブルも多い

 では、どのような人々がフリーランスになっているのか。2020年5月に内閣官房日本経済再生総合事務局が公表した「フリーランス実態調査結果」によれば、フリーランスは40代以上のミドル・シニア層が中心であり、全体の7割を占める。29歳までは11%に過ぎないが、30~39歳は17%、40~49歳は22%、50~59歳は20%となっている。

 フリーランスという働き方を選択した理由としては「自分の仕事のスタイルで働きたいため」が約6割弱に上り、「働く時間や場所を自由とするため」が39.7%、「収入を増やすため」が31.7%だ。7割以上のフリーランスが仕事上の人間関係や就業環境、達成感などに満足しており、わずらわしい関係からの「解放」がストレスを軽減しているのはたしかなようである。

 だが、フリーランスの障壁として挙げられるのは収入が安定しないことだ。「収入が少ない・安定しない」と回答した人は59.0%に上り、収入の満足度は4割にとどまる。フリーランスとしての年収は「200万以上300万円未満」が19%と最も多く、国民の平均年収が約433万円であることを考えれば、余裕のある生活を送ることができる人は一部に限られているようだ。 

 取引先とのトラブルも少なくない。事業者から業務委託を受けて仕事を行うフリーランスが取引先とのトラブルを「経験した」との回答は約4割に上る。その内訳を見ると、書面や電子メールが交付されなかったり、取引条件が十分に明記されていなかったりした人は6割以上に達している。

 具体的には「発注の時点で、報酬や業務の内容などが明示されなかった」(37.0%)、「報酬の支払いが遅れた・期日に支払われなかった」(28.8%)、「報酬の未払いや一方的な減額があった」(26.3%)と続いており、個人で事業を行っていることの立場の弱さは否めない。トラブルがあっても「泣き寝入り」した人は21.3%に上り、それを受け入れなければ取引が打ち切られたり、減らされたりすることを恐れていることがうかがえる。 

「免税事業者」が死滅する悪魔の新制度

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この記事の著者
佐藤健太

ライフプランのFP相談サービス『マネーセージ』(https://moneysage.jp)執行役員(CMO)。心理カウンセラー・デジタル×教育アナリスト。社会問題から政治・経済まで幅広いテーマでソーシャルリスニングも用いた分析を行い、各種コンサルティングも担う。様々なメディアでコラムニストとしても活躍している

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