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澤上篤人「倒産連鎖、金融緩和バブル崩壊で株価暴落へ」政府・日銀は八方ふさがり

世界で唯一、ゼロ金利政策をとる日本

 いま、世間では円安が大きな話題になっている。9月22日、財務省は2.8兆円規模の24年ぶりとなる円買いの為替介入を実施し、過度な円安に歯止めをかけると表明したが、それでも円安基調は収まっていない。

 だが、政府や日銀の最近の動きを見るにつけ、長期投資家として、また経済の専門家として「何とアホな対応をしているのか」と憤りが湧いてくる。いま、世界で広がっているインフレは、様々なコスト上昇がもたらすコストプッシュ型のインフレであり、それに応じて金利が上がっていくのは、いわば滔々(とうとう)と流れる大河の流れのようなものである。この流れに逆らい、日本だけが円安を維持するために資金を無理やり投入している。何という無駄なことをするのか。

 日本が相変わらずのゼロ金利政策を続ける中、アメリカのFRBや欧州のECBはインフレ対応のために利上げを加速している。日本以外では唯一、マイナス金利を続けていたスイス中央銀行も、先日、マイナス金利の解除と利上げを表明した。これによって先進国で異常な低金利政策を続けているのは日本のみとなった。

 私が問題視しているのは、円安、1ドル145円や150円といった為替の攻防ではない。日本と諸外国との金利差だ。この話をしている9月28日現在、日本の長期金利は0.25%。アメリカのFRBは徐々に金利を上げ、3.97%にもなっている。その差3.7%強。この金利差は異常といってもいい。投機筋でなくとも、機関投資家や普通の金融機関なら、円を売ってドルを買う。これだけの金利差があれば、日本に投資するより、アメリカに投資したくなる。それが「経済の合理性」というものだ。

このままだと投機筋の国債売り仕掛けもそして「円安倒産連鎖」、「バブル崩壊へ」

 しかし、政府や日銀は低金利政策を変えるつもりは今のところないらしい。金利を上げさせないよう、ひたすら日本の国債を買い続けている。だが、それは無理筋というものだ。日銀は今、発行されている日本国債の52%を持ち、残りの48%は海外はじめ機関投資家や金融機関が持っていると言われる。48%の保有者たちは、政府・日銀に遠慮し、昔からの相場の格言である「中央銀行とはケンカをするな」を守って、これまでは売りを仕掛けることはなかったが、このまま金利差拡大が続いていけば、投機筋を含めて国債売りを仕掛けないという保証はない。そうなればますます円安は進む。

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この記事の著者
澤上篤人

澤上篤人(さわかみ・あつと) さわかみホールディングス代表取締役、さわかみ投信創業者。1979年から96年までピクテ・ジャパン代表を務めた後、96年にさわかみ投資顧問設立。日本の長期投資ファンド運用の第一人者として多くの個人投資家の支持を集める。「さわかみファンド」1本の運用で、純資産は3300億円、顧客数11万7000人を有する。

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