絶対に笑ってはいけない「韓国・文在寅前政権」と大統領の悲しき末路

韓国野党「共に民主党」惨敗の原因は文在寅にある

韓国野党の統一地方選での大敗北が伝えられた。2022年6月1日投開票の統一地方選では、首都ソウルなど17の知事・広域市長選が行われたが、野党「共に民主党」は「4勝13敗」とまさに完敗の様相を呈した。同年3月の大統領選では確かに「国民の力」の候補・尹錫悦氏が勝ったとはいえ、「共に民主党」の李在明候補とは得票率0・7%差という超大接戦だっただけに、この敗北が韓国政界、特に革新勢力に与える影響は相応のものがあろう。一方の尹新政権・保守勢力にとっては、この上ない後押しとなりそうだ。

早くも「共に民主党」の側は戦犯探しが始まっている。突如として党トップに抜擢されながらこの敗北を招いた20代の女性委員長、朴志玄氏の「フェミニズム丸出し、急進的すぎる党改革」がこの結果を招いたと報じるメディアもあった。朴氏自身の責任以上に、彼女の抜擢によって党内が瓦解したというのだ。

一方で、統一地方選では、投票率の低下が野党大敗北の結果につながったともいう。野党支持者が投票に行かなかったことになるが、なぜ野党支持者は政治に失望し、投票しなかったのか。

文在寅がトランプ時代に残したのは負の遺産だけだった

その責任を最も負うべきは「共に民主党」に担がれ、政権交代まで大統領の座に座っていた文在寅前大統領、その人であろう。

韓国の保革の対立軸として「北朝鮮に対する姿勢」がある。保守派は対北強硬路線であり、アメリカとの関係を重視する。一方革新派は対北融和路線であり、できれば在韓米軍にも撤退願いたいと考えている。

革新派である文在寅も北朝鮮に対して秋波を送る「融和路線」を取り続けた。当初、互いに「ロケットマン」「耄碌老人」と言い合っていたトランプ米大統領と金正恩総書記が一転して蜜月関係に傾くと、文在寅もまさに間を取り持つように振る舞い、2019年には米韓朝三カ国の首脳が朝鮮半島の南北軍事境界線に一堂に会す「歴史的場面」を演出した。

確かに歴史的な場面ではあったが、この時が「ピーク」。トランプが北朝鮮外交で何らの成果も残せないと悟ると、米朝外交の機運は低下。その後、トランプは外交の舞台から去り、米朝に乗っかることで存在感を示していた文在寅の国際的な活躍の場面も一挙に失われることになったのである。

そして残ったのは、トランプが米朝外交の「歴史的雰囲気」情勢にこだわったことで後回しにされた北朝鮮の核施設と、核実験の再開というまさに負の遺産だけだったのである。

バイデンと文在寅の足並みが揃うわけがない

核放棄をしなければ対話はない、とするアメリカの政権が現実派のバイデン大統領に代わると、融和路線を取る文政権の「仲介外交」もすっかり鳴りを潜めてしまった。「親北路線」を取り、米軍の朝鮮半島への影響力を拡大したくないと考える文在寅と、多国間連携で国際社会の脅威を抑え込もうと考えるバイデンの足並みがそろうわけもなかったのだ。

さらには、2022年2月24日に起きたロシアによるウクライナ侵攻である。「もしかしたらやるかもしれないが、まさかやるとは思えない」と言われていたロシアが、民族的に近く「兄弟」とも呼んでいたウクライナに本格的な軍事侵攻を行ったのだ。しかも侵攻は長引き、すでに4カ月近くがたつ。ウクライナ国内の悲惨な状況も次々伝えられる状況にある。

これが韓国世論に及ぼした影響は少なくないだろう。ロシアがウクライナに侵攻したのちもミサイル実験を繰り返しているのが北朝鮮だ。ロシアが核の使用をほのめかして国際社会から非難を浴びる中、「核実験の再開」を宣言しているのが北朝鮮なのだ。日本では「今日のウクライナ、明日の台湾、明後日の日本」という空気も醸成されつつあるが、韓国の危機感はその比ではない。まさに「今日のウクライナ、明日の韓国」である。朝鮮戦争は終結しておらず、「休戦」状態であることを忘れてはならない。

さらに文在寅の日韓外交が影を落とす。多国間連携を重んじるバイデンは、北朝鮮、あるいは中国をけん制するにあたり、東アジアにおける「日米韓」の関係強化を望む。そのためにバイデンがオバマ政権の副大統領を務めていた際に水面下で取りまとめたのが、2015年の「日韓合意」だったと言われている。

日韓の歴史的わだかまりに終止符を打ち、未来志向の連携を模索する。バイデンは水面下でこの合意を進め、お互いに背を向けていた安倍晋三・朴槿恵を納得させた、いわば立役者だった。

文在寅はバイデンをコケにした

ところがそれを反故にしたのが、他でもない文在寅だったのである。挙句、慰安婦裁判、徴用工裁判で恣意的な判決を最高裁に出させると、日本も輸出管理における「ホワイトリスト外し」を行って対抗した。その後の日韓関係はもはや完全に冷え切った状態となってしまった。

それに比べ、「自由と民主主義」を重んじ、「人権」にも目を向け国際連携、国際貢献を高らかに唱える尹大統領の登場は、バイデンを安心させたに違いない。「人権」を唱える以上、北朝鮮に対する融和はあり得ない。だからこそ2022年5月のバイデンによる日韓歴訪で、バイデンは就任直後の尹氏に会うべく、日本よりも先に韓国を訪れたのだろう。就任後、ひと月近くも文在寅に電話しなかったバイデンのこの対応の差が、尹と文への期待の差として表れている。

文在寅は国内政治においては、国民に所得増を約束しながら果たせず、逆に不動産価格が倍以上に高騰し、若者を中心に「家も買えない」「韓国は『ヘル朝鮮』と化した」との怨嗟の声が上がっていた。さらに文在寅は退任直前、「検察庁法改正」というあまりに大きな負の遺産を残していった。

検察庁法改正の強行によって、捜査権限が検察から警察に移された。もともと韓国の検察は汚職、刑事事件、公職者、選挙、防衛事業、重大事故に対して直接、操作することができる。ところが改正法では、捜査対象を汚職と経済事件に絞り、公職者に対する捜査権限を警察に移したのである。

文在寅の残念すぎる末路

なぜ政権末期に駆け込みでこのような改正を行ったのか。いわば、これまで政権交代のたびに前政権の大統領らが逮捕されてきた韓国政治の前例通り、自らも逮捕されることを恐れた文政権が、それを防ぐためだけに行った「保身の法改正」だ。当然、韓国国内の検察官や弁護士が猛反発し、新聞やメディアも批判したほどだった。

弁護士であり、法治を重んじなければならないはずの革新派である文在寅が、実際には保守政権以上に「人治をもって法治を覆す」暴挙に出たと言っても過言ではないだろう。革新派のリーダーとしての自身の理念を打ち壊すに等しいこの法改正は、あまり上品ではない例えをあえて使えば、「イタチの最後っ屁」と呼ぶにふさわしい愚策だ。

内政でも外交でも何らめぼしい功績を残せないどころか、むしろ国内外に「負の遺産」……つまり国内には検察庁法改正を、国外には北朝鮮の核を残していった文在寅に対する「評価」が、今回の統一地方選の結果にそのまま表れた、とみられても仕方がない。文政権の残した功績はゼロどころか、マイナスと言うほかない。

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