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日本のメディアが報じない第二次トランプ政権「重点経済政策」…イーロン・マスクと亀裂か!?なぜ石破ジャパンは無視され続けるのか

 2025年1月20日には第2次トランプ政権が発足する。長引くインフレなど課題山積の米国経済にトランプ政権はどう立ち向かうのか。ロシア・中東情勢はどうなるのか。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏に聞いたーー。みんかぶプレミアム特集「スーパー投資家の教え」第10回。

目次

トランプ政権の経済政策の最優先事項は「インフレを完全に鎮静化し、FRBの利下げを後押しする」こと

 オールドメディアの解説では「トランプ大統領が経済・社会を滅茶苦茶にするのでは」と不安視するメッセージが発信されている。

 筆者はリベラルなメディアの偏見に満ち溢れた見解に同意することはない。むしろ、トランプ政権の政策は米国を取り巻く課題に対処するために非常に合理的な選択を行うことが予測される。

 しかし、その政策が合理的であるが故に、実際に政策を実行する段階では様々な障壁が立ち塞がることになる。

 トランプ政権の経済政策の最優先事項は「インフレを完全に鎮静化し、FRBの利下げを後押しする」ことだ。トランプ大統領が主張する好景気を持続・拡大するためには、FRBの利下げの継続は欠かすことができない。現在、米国のインフレは一旦小康状態に陥りつつあるものの、FRBはインフレ再燃を懸念して利下げに慎重な姿勢を取っている。なぜなら、トランプ政権が米国内外の課題に対応をしようとするなら、それはインフレを助長することに繋がるからだ。トランプ大統領は、様々な諸問題に対処しつつも、インフレとの戦いを両立させるという難問をクリアする必要がある。

トランプ政権がまずやるのは、不法移民への対処

 トランプ政権を迎える米国が対処を迫られている課題は極めて深刻だ。

 第一に、南部国境地帯から侵入する不法移民、犯罪、麻薬への対応などの米国を現在進行形で脅かす危機への対処だ。

 トランプ大統領は閣僚指名予定者にズラッと不法移民・国境問題に対する強硬派を並べている。そのため、政権発足早々に強力な大統領令を発して、米国内に存在する不法移民への対処を実施することが予測される。

 それと同時に、南部国境管理を厳格化することは確実だ。ただし、このような対処は労働力供給が鈍ることになり、賃金上昇によるインフレが再燃することになる。

激化する米中の覇権争い…関税政策はあらたなインフレ要因に

 第二に、中国による新産業分野の覇権を阻止することだ。

 トランプ大統領は対中問題として貿易赤字の拡大を問題視することが多いが、それ以上に米中両国の争いは世界の覇権を巡る戦いであることは明白だ。

 中国は不動産市況が深刻な状況に陥っており、経済的な生き残りをかけて産業政策に多額の予算をつぎ込んでいる。

 そのため、中国の覇権を失わせるために、EV、バッテリー、太陽光発電等の新産業を米国市場から締め出すことは効果的な戦略となっている。

 また、国防分野におけるサプライチェーンの観点からも米中の繋がりを切り離すことにも一理ある。ただし、その際に利用される関税政策がもたらす負担は、米国の輸入品価格に転嫁されるために新たなインフレ要因となる。

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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