「人生も株も浮き沈みあり」資産16億、87歳の伝説デイトレーダー「阪神大震災で取引ノート全消失」を乗り越え、朝2時から市場チェック

朝2時に起床してから夜8時ごろに就寝するまで、その一日の大半を株につぎ込む87歳のデイトレーダー、藤本茂さん。資産総額16億円にのぼる藤本さんに、投資にのめり込んだきっかけや、87歳のいまだからこそ大事にしていることを伺った。
転換社債にはまる
2.26事件が起きた1936年、藤本茂さんは兵庫県加古川市で産声を上げた。4人兄弟の末っ子で、動物が好きだったことから、高校卒業後は姉の夫に紹介されたペットショップに勤務。さまざまな動物がいたが「売れ筋は犬やカナリアやったね」と振り返る。
そんな中で、客として現れたのが証券会社の社員だった。その社員に教わる形で株を始め、株の面白さを知った。しばらくはペットショップで勤務していたが、知人が話していた「喫茶店か雀荘をやりたい」という夢を聞き「それはええな」と自身も雀荘の経営者に転身した。
雀荘は、昼間は大学生、夜間はサラリーマンを主な顧客として賑わいを見せた。神戸市内で3店舗を経営し、雀卓47台、従業員十数人を抱えるまでの規模に成長した。
順調な雀荘経営だったが、1980年代に入って転機が訪れる。それが転換社債(転換社債型新株予約権付社債)との出会いだった。転換社債とは、株式に転換できる権利の付いた社債(債券)のことで、英語表記の「Convertible Bond」からCBとも呼ばれる。
普通社債はほとんどが固定利率で、償還まで保有する場合の利回りは普通社債のほうがよい一方、転換社債は転換対象の株価の動きに合わせて値が変動する性質を持つ。