溶ける日本…旧NHK党内紛「重大局面」LINE暴露の大津氏、立花氏の時限爆弾”異常事態に総務省や銀行の判断”

 内紛状態にある旧NHK党(政治家女子48党)の “時限爆弾” がついに爆発した。同党は約1カ月前に就任したばかりの大津綾香党首を「除名処分」とし、創設者の立花孝志氏が党首に復帰すると発表したのだ。党資金を不正に移動させようとしたことなどを除名の理由としているが、大津氏は党首辞任を否定。逆に第三者委員会を設立し、立花氏らの不透明な党運営を調査するという反撃に出ている。双方が公党の「党首」を名乗る異常事態で、他党からは「もはや旧N党はカオス状態」(自民党中堅)との冷ややかな視線が注がれている。

突如、大津党首の除名を発表した「政界の破壊神」立花孝志

 相次ぐ常識破りで名をはせ「政界の破壊神」との異名も聞こえる立花氏の動きは速かった。大津氏が4月5日に「金曜日の午前中に会見予定です」と7日の記者会見での “爆弾発言” をにおわせると、立花氏は7日午前9時前にツイッターに「政治家女子48党 代表者変更のお知らせ 2023年3月29日付で、政治家女子48党の代表者は、大津綾香より、斎藤健一郎(ママ)に変更されました!」と、国政政党変更登記申請書の画像をつけて投稿した。

 同9時にはツイッターで「大津前党首は会議での決議を全く無視して、自分が代表者であるかのような振る舞いを週刊誌で行なったり、本日の10時から会見をすると言っていますが、全くそんなものは無効です。3月29日、当時の大津綾香党首は自ら辞めるとの発言を何度も繰り返しており、その後は形式的な代表者。3月29日に日付を遡って本日、先ほど千葉の法務局に代表者を斉藤健一郎に変更する手続きを行っています。この後、私は千葉の選管に向かっています」との動画をアップしている。

 続けて同9時2分にアップされたユーチューブ動画では、浜田聡参院議員と斉藤健一郎参院議員と並び、立花氏は「大津さん自らが党関係者の質問に対して、事態収拾のために私が代表権を譲るということ、とどまるわけがないじゃないですか、乗っ取るわけがないじゃないですか、という発言がありました。これが代表権の移転の起点であると我々は考えている」と説明。党所属国会議員の浜田、斉藤両氏も同意する姿が映し出されている。

驚くべきは、批判した大津氏に対する反撃のスピード

 驚かされるのは、大津氏から代表権返還を拒否されてきた立花氏の反撃スピードだ。立花氏は同党の参院議員だったガーシー(本名・東谷義和)容疑者が昨年夏の参院選で当選後、一度も国会に登院せず、国会における懲罰処分に応じなかった責任を取るとして、3月8日に党首辞任を表明。国政政党の名を「政治家女子48党」に変更し、大津氏に新党首を譲ると説明していた。

 だが、その後に黒川敦彦幹事長(当時)が計画した政治資金パーティー開催をめぐり大津氏らと激突し、3月29日には当時就いていた事務局長も辞任した。大津氏が4月4日に応じた「週刊ポスト」インタビューで「結局、この党は立花さんの独裁で、いろいろな人が振り回されて、約束は反故にされて、お金も立花さんの気分で使っている。それは(私が党首をやっている)今しか変えられないということ。だから、党のお金の流れがどうなっているか、開示して明らかにしたいと思います」などと批判を展開すると、立花氏は同5日に「裁判をすることにしました」として、同党にお金を貸している債権者と、政党助成金を事実上差し押さえる意向を表明した。

 同党には333人から総額10億5000万円の債務がある状態といい、自らがつくりあげた政党を相手取って訴訟することで党資金を “封鎖” するという異例の手法だ。

 4月5日に配信された「SmartFLASH」で、大津氏が「私が代表権を持っていることで、党の民主主義が保たれるなら、手放すべきではないと考えています。この際、党内をクリーンにします」と語っていたことも、立花氏の逆鱗(げきりん)に触れたとみられている。ちなみに、7日9時2分に立花氏がツイッターで公開した動画は、6日午後8時35分から撮影されたものといい、大津氏側の出方を想定してあらかじめ “時限爆弾” をセットしていたようだ。

斉藤代表、立花党首の体制での党運営継続が濃厚に

 7日に開かれた同党の定例記者会見の場には、大津氏の姿がなかった。斉藤氏とともに現れた立花氏は「大津綾香に関しては、昨日付で除名処分としております」と説明し、代表権は斉藤氏、党首には立花氏が就くと発表した。3月29日に行われた党の会議について、立花氏は「(大津氏は)何度も党首を辞めると言っている。斉藤君に代表権を渡したという解釈で十分」とし、大津氏側が党の資金を不正に引き出そうとしていたと主張。「解党する危険性があった」と除名理由を語り、「僕が真ん中に座るのがベスト」と持論を展開した。

 参院議員だったガーシー容疑者の議員除名に伴い、繰り上げ当選したばかりの斉藤氏は「大津前党首より、口頭にて代表委任(ママ)の申し出を3/29に引き受けました」とつぶやいており「『立花独裁』は変わらない」「現場のトップは立花孝志で全権委任している」などと、わずか1カ月での “党首交代劇” にも冷静さを保っている。

 今後注目されるのは、党運営と資金の行方だ。大津氏は7日に開いた別の記者会見で党首辞任を承認していないと反論しており、双方の言い分は真っ向から対立する。ただ、同党の全体LINEから大津氏が除外されたことを見ても、現実的には所属国会議員の2人が立花氏と行動を共にしており、党運営は「斉藤代表、立花党首」を軸に行われていくことになるのは想像に難くない。

2人が代表者を名乗る異常事態に総務省や銀行はどう判断するのか

 しかし、政党助成金を受ける公党の立場からは難点もある。立花氏側は千葉県選挙管理委員会に代表者変更届を申請したが、総務省は「書類審査中」だ。一般的に代表者の印は事務局で保管し、各種書類に押印することがあるが、代表権返還に応じないとしていた大津氏がどこまで許容していたのか、という点は重要だろう。

 また、党資金が入る金融機関の口座管理も(一般的には)党の事務局が行っていることが多いのだが、大津氏は党内の不明瞭な資金の流れについて第三者委員会を設置すると説明している。「立花氏の人件費や資金の流れが不明瞭で、不正使用の可能性がある」と弁護士とともに調査をスタートしており、口座は証拠保全のため調査終了まで保持するという。

 大津氏は4月8日にツイッターで「立花さんは色んなところで何度も政女党の口座には2400万円あると仰(おっしゃ)っていましたが、浜田さんの300万円を除くと600万円しか口座にはありませんでしたよ。この数日でお金はどこへ行ってしまい、なぜそんなに興奮しているのですか?」と投稿し、金融機関の通帳コピー画像をアップした。

 立花氏は、大津氏側が口座から全額を引き出そうとするなど不正な動きがあったと指摘している。ただ、大津氏は党首変更がなされたとの立花氏のツイートを受けて「せっかく保全した預金口座から不正に引き出されてしまうことを懸念したスタッフ」が銀行側から係争中を理由に預金の移動ができないと説明され「では900万円はおろせないのか?」と銀行側に確認した点を、立花氏が “印象操作” していると主張。「名義を変更した4日より今日まで、一度も銀行にも行っていなければ、下ろしに行くとも言っていません」と主張している。

 2人が「代表者」を名乗るという異常事態の中で、総務省や銀行側がどのような見解を示すのかは注目だろう。これまで「政治とカネ」問題といえば、贈収賄事件や政治資金規正法違反ばかりが目立ってきた。だが、今回は党資金の行方だ。「金の切れ目が縁の切れ目」と言われているが、泥沼化する同党は一体、どこに向かうつもりなのか。もはやNHKではなく「政界の常識」そのものがぶっ壊されようとしている。

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この記事の著者
佐藤健太

ライフプランのFP相談サービス『マネーセージ』(https://moneysage.jp)執行役員(CMO)。心理カウンセラー・デジタル×教育アナリスト。社会問題から政治・経済まで幅広いテーマでソーシャルリスニングも用いた分析を行い、各種コンサルティングも担う。様々なメディアでコラムニストとしても活躍している

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