ペアローンで1億4000万円の湾岸タワマン購入パワーカップルの末路…妻が不倫、オーバーローンで泥沼争い「なぜか夫が安アパートに」

タワーマンションに住む人々の悲哀を描いた「タワマン文学」が注目を集めている。世間一般には勝ち組と見られている人々が人知れない苦しみを抱えていたり、思わぬ方向に人生の舵(かじ)が向いてしまったりする姿に、多くの人々は刺激を受けると同時に、誰しもそれぞれの悩みがあるのだと安堵する。
そんな勝者の葛藤や転落劇は、小説の中の話だけではない。今回ご紹介する男性は、誰もが羨(うらや)む高層マンションでの暮らしから一転し、家賃3万8000円のボロアパートで暮らすようになった。ライターの古川諭香氏がレポートする――。
担任教師のおかげで貧困の連鎖を断ち切ってエリートに
傍山智明さん(仮名・37)が生まれ育った家庭は決して、裕福とは言えないものだった。両親は智明さんが3歳の頃に離婚。原因は、父親のDVだったと聞いている。
専業主婦だった母親は昼も夜も働くようになり、智明さんが不自由なく生活できるように頑張ってくれたが、生活は厳しく、電気が止まったことも何度もあった。
「友人の間で話題になっている新しいゲーム機の話になど、とてもついていけず、学校では孤立していましたね」
だが、そんな智明さんを気にかけてくれた存在がいた。それは、担任のM先生。M先生は家庭訪問や普段の智明さんの身なりから、一家が生活に困窮していることを悟り、時々、インスタントラーメンやコンビニのおにぎりなどをくれた。
「それだけでもありがたいのに、個別で勉強を教えてもくれました。『学力を身につけておけば、未来が広がるから』と。僕が貧困の連鎖を断ち切れたのは、M先生のおかげです」
智明さんは高校に入ると、アルバイトをし始め、大学の学費を貯めた。地頭の良さもあり、有名な国立大学経済学部に進学。卒業後は「もうお金で苦労したくない。だからこそお金に誰よりも詳しくなりたい」という思いから、外資系金融機関に就職した。
自分の恋心に気づいて彼女との結婚を決意
仕事に邁進(まいしん)していた智明さんに春がやってきたのは、30歳の頃。職場の後輩である、2歳年下の立花佳織さん(仮名)と親しくなり、何度か食事に行くようになった。