全ホワイトカラーに衝撃!野口悠紀雄「2030年までにメーカー・小売・金融・商社の雇用が減る」唯一残る業界と”生き残るために必要なたった1つのこと”

チャットGPT(ChatGPT)の脅威的な性能が、連日のようにメディアに報じられる中で、一時期静まっていた “AI脅威論” がまた沸騰してきている。AIによって、人間の仕事はなくなってしまうのか。
アメリカでは3月、非営利団体「フューチャー・オブ・ライフ・インスティチュート(FLI)」が、チャットGPTの最新モデル「GPT-4」をシステム開発停止の対象にするべきだ、とした公開書簡を発表。著名実業家のイーロン・マスク氏をはじめ、米経済界・学会の大物を含めた2万人以上が署名して注目を集めた。
一橋大学名誉教授で経済学者の野口悠紀雄氏は「人類史的にも未曾有の危機に直面している」と言う。みんかぶプレミアム特集「リストラ連鎖」第4弾は、経済学やAIに対する知見やファクトに基づき、『2040年の日本』(幻冬舎新書)などの書籍で、雇用に関する未来予測も披露されている同氏に、2030年の日本の雇用状況はどうなっているのか、個人・社会はどう対応すればよいのか、聞いた。
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2030年までに、たった2つの産業を除き、全分野の雇用者数が減っていく
過去の推移が変わらなければ(2030年まで日本の雇用状況は)「医療介護」「専門科学技術」の2つの分野以外の、すべての雇用者数が減っていくことになります。それはメーカーや小売り、金融、商社、マスコミなどを含む全分野です。「専門科学技術」の裾野は狭いですから、事実上「医療介護」以外の分野の雇用者数は減っていく、と言えるでしょう。
そもそも、日本全体で労働力人口が減っていくことが見えているので、他の産業の就業者数は、それに比例する以上に減っていくしかありません。
そして今、世界的に話題になっているのは、AIが人間の仕事を代替していくことです。3月にはイーロン・マスク氏らが、チャットGPTの最新モデル「GPT-4」の開発中止を求めた公開書簡に署名したことからも、世界中の知識人の危機感が見て取れます。しかし、今後、AIが人間の仕事を代替していく流れは止めようもなく、急激に進んでいくことでしょう。
そこで気になるのが、どのような仕事がAIに代替されるか、ということです。
例えば、自動車の運転が自動運転によって代替されれば、バスやトラックの運転手がいらなくなります。
チャットGPTをはじめとした生成系AIによって、人間とロボットとの会話がより滑らかになっていけば、コールセンターの仕事などに、生成系AIが埋め込まれたチャットボットが使われ、そうした仕事もAIに代替されていくでしょう。