運がいい人がなぜずっと運がいいのか…脳科学で解説!強運脳の3つの共通点「誰でもなれる」

プレミアム「勝ち続ける人の『運の引き寄せ方』」第6回は「運の強さ」を脳科学から茂木健一郎氏が解説する。そこから見えてくるのは「運がいい人」はただラッキーではないということ、そしてあなたも「強運脳」を手に入れられるーー。
目次
強運脳は存在する
世の中には、運がいい人がいる。そのように言うと、合理主義者からは笑われそうだが、実際にそうだから仕方がない。
運などなくて、すべてが実力だと思っている人は案外発展性がない。脳はオープンシステムで、世界とあれこれとやりとりをして初めてその潜在能力を発揮できる。「運」は、脳がオープンであることの必然的な帰結である。
「強運脳」というのは存在するのだ。どうすれば強運脳になれるのか、その秘密について考えることは、投資から人生の選択まで、必要な教養の一つと言って良いだろう。
どうしたら強運脳になれるのか
もっとも、強運脳と言っても、スピリチュアルやオカルトではない。(後に述べるように、そのような非科学的なことを信じる人が結果として強運脳になる場合もあるのだけれども、それはまた別の話である)。あくまでも科学的な視点から、強運脳の条件を記述することができるのだ。
以下では、どうしたら強運になれるのか、そんな脳の使い方を伝授したいと思う。
運のいい人というのは、聞く人にインパクトを与える印象的なエピソードを持っている。
脳科学からみる運の良さは当然の帰結
「仕事がなくなった日に、街を歩いていたら、偶然、次の人生の展開につながるようなものに出会った」
「気分が落ち込んでいるときに、たまたま誘われた友人のパーティーで、意気投合した社長さんに会社に来ないかと誘われた」
「クリエィティヴなアイデアで行き詰まっているときにたまたま見たネットで、次の大ヒットにつながるヒントが見つかった」
このような運のいい人の展開には、みんながあこがれるし、できればあやかりたいと思うのは当然のことだろう。
しかし、脳科学の立場から言えば、これらの「運の良さ」は、ある意味では脳の働きの当然の帰結である。
偶然の幸運に出会うための3つの要素
占いやスピリチュアルで言うような「ラッキー」があったから運が良くなったのではなく、むしろ、その人の脳が「通常運転」していて、さまざまな情報を逃さなかったり、それについての的確な判断をしたり、あるいはきちんと行動できたからこそ、運が良くなった。別の言い方をすれば、「強運脳」とは当たり前の脳であり、自然体の脳なのである。
偶然の幸運に出会うことを、「セレンディピティ」と呼ぶ。さまざまな占いやスピリチュアルに凝っている人から見ると、セレンディピティは何か神秘的な力の結果だと思うかもしれないが、実際には脳がきちんと働いて仕事をしたことで、そのようなセレンディピティに出会えるのである。
セレンディピティには、3つの要素がある。「行動」(Action )、「気づき」(Awareness)、そして「受容」(Acceptance )。頭文字を合わせて「3つのA」を大切にすることで、誰でも、「強運脳」になることができるのだ。
自分や周囲を変える勇気を持つ
まず、第一の「行動」(Action)。運は、寝て待っていても引き寄せることはできない。街を歩いたり、友人のパーティーに行ったり、情報源に接したりといった行動があって初めて、偶然の幸運に出会うような機会も訪れるのだ。
次に、「気づき」(Awareness)。せっかく偶然の幸運の種に出会っても、それに気づかなかったら仕方がない。気づくためには、ある程度心に余裕がなくてはならない。周囲にまんべんなく気を配る「マインドフルネス」の状態は、気づきへと導かれやすい。
最後に「受容」(Acceptance)。受け入れること。出会った偶然の幸運は、それが大きなものほど、それまでの価値観を変えたり、人生を新たな道筋へと導くものだったりする。自分や周囲を変える勇気を持たないと、せっかくの運も活かすことができない。