我々は30年間騙され続けた…鬼の岸田首相「サラリーマン増税、考えていない」発言をなぜ国民は信じられないのか

岸田文雄総理の「サラリーマン増税考えていない」発言以降も国民の怒りがおさまらない。ルポ作家の日野百草氏が岸田政権やこれまでの日本政府による「増税しない」発言を検証するーー。
この国の「増税はしない」の嘘の歴史
「サラリーマン増税という報道があるが、自分はまったく考えていない」
岸田文雄首相の言葉だ。7月25日、自民党税制調査会の会長に対して述べた。最初に断っておくが、通勤手当や失業手当、奨学金などに「税制上も対応を検討する必要」とした答申『わが国税制の現状と課題 令和時代の構造変化と税制あり方』の政府税制調査会とは別の機関である。
しかし、「考えていない」とした岸田首相だが与党支持、野党支持関係なく一般国民は「信じられるわけがない」と冷めた見方が大勢を占めた。それは当然の話で、そもそも増税はしないと言って防衛費の増税(のち先送り)を決めたことは事実だし、社会保障費も負担増となった。いわゆる『骨太方針2023』でも退職所得課税制度の見直しが閣議決定されている。これについては拙ルポ「一般国民はもう限界だ…『若者には悪いが、退職金はもうあてにするな』鬼の岸田政権、サラリーマンを追い込んで『手取りをさらに減らす』の刑」でも触れた。
ところで一般国民の多くは気づいているし、また覚えているだろう。この国の「増税はしない」の嘘の歴史を。
「この顔が嘘をつく顔に見えますか?」
筆者が実体験で知るところでは1986年、中曽根康弘首相の「嘘」だろうか、のちの消費税の端緒となった「大型間接税」導入が噂される中、中曽根首相は国民にこう言った。