総理視察よりカップ麺のお湯がほしい…自分のメンツ最優先・岸田首相「観光旅行」に官邸からも疑問と怒り「中身が全く伴わない」の声

被災地に到着し自衛隊、警察、消防隊員らを激励した岸田文雄首相。しかし、官邸からはその行動に疑問視する声があがっている。一体なぜ、そして何に……。元プレジデント編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。
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被災地から聞こえてくる「訴え」
1月14日、岸田文雄首相は、能登半島地震で大きな被害を受けた石川・輪島市に到着し、安否不明者の捜索などに従事する自衛隊、警察、消防隊員らを激励した。一方で、輪島市から切実な訴えが続いている。
「(震災から2週間近くがすぎても)食糧不足が続いています。」
「カップヌードルがあっても電気が通っていないこともあり、パンやおにぎりも引き続きお願いしたい」
被災地では、いまだに、このような困窮を訴えている状況が続いている。岸田首相は、何を目的にして被災地へ視察に入ったのか。
1月1日16時10分に起きた能登半島地震(最大震度7、マグニチュード7.6)だが、いまだに、被害が収まっていない異例の事態が続いている。例えば、七尾市では道路の通行止めが増えており、現在161件にまで達している。また、土砂災害の恐れによる避難指示発令区域増加している。いまだに孤立している集落も多く、交通インフラの復旧の目処が経っていない地域がある。
課題が見えてきた。「インフラ」「寒さ」「治安」だ
また、避難所では、インフルエンザなどが蔓延しており、高齢者が多い(高齢化率が50%を超える地域のある)能登半島では余談を許さない状態が続いている。
1月11日夜時点で、ケータイの電波が届いていない地域が、NTTドコモで18%、KDDI(au)で11%、ソフトバンクが5%、楽天モバイルが3%となっている。被災地では人工衛星をつかった通信サービス「スターリンク」が3市町37台が稼働しているが、全体としてはまだまだ復旧が足りていない状況だ。
他方、被災地では発災から2週間近く経って、課題が見えてきた。「インフラ」「寒さ」「治安」だ。この3つを乗り越えるために、被災現場で、自衛隊、警察、救急、行政、そして被災者たちが奮闘していると言う状況である。そしてまた、将来を見据えた「復興計画」もそろそろ固めなくては、若い被災者たちが希望を失ってしまう。
これまでの震災と違うのは、インフラ整備がなかなか進まないこと
これまでの震災と違うのは、インフラ整備がなかなか進まないことだ。特に上下水道の復旧までに長期間必要であることがわかっており、インフラの整っていない避難所から、違う場所への「引越し」が被災者へ働きかけられている。これから2月まで本格的な寒さが続くゆえに、人命に関わるものであり、故郷を捨てたくないという被災者をどうにか説得しなくてはいけない。