突如新宿ゴールデン街に現れた自称「年収億超え京大卒」老人とその女が「客全員奢る」と言ったあとにむかったアコム

会社員、学生、フリーター、作家、役者、風俗嬢、無職…などさまざまな人間が毎晩集う新宿ゴールデン街。作家の山下素童氏がバーテンとして働く店「月に吠える」には、ときより得体の知れない客が紛れ込んでいることがあるという。
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いきなり店に入ってきた老年の男女2人組
バーで働いていると、たまに小説の登場人物みたいなお客さんがやってくることがある。ちょうど1年前の冬にやってきた老年の男女2人組が、そんなお客さんだった。
筆者は、新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」で週に1度だけ店番をしている。”文壇バー”とは一体なんだと思う人もいるかもしれないが、カウンターの上や側壁の本棚に小説などが並んでいる、本が好きな人が集まりやすいバーである。筆者が働いている「月に吠える」では、20~30代の比較的若いお客さんが訪れやすい。
その日の店内は、途中まではいつもと変わらない雰囲気だった。20~30代くらいの、文化系のお客さんで店は賑わっていた。
「2人、入れますか?」
厚い化粧をした60歳くらいの女性がドアから顔を覗かせたのは、深夜の2時過ぎだった。その女性の後ろには、白髪の角刈りで、四角い眼鏡をかけた70歳くらいの男性が立っていた。店内にいた客が若い人ばかりだったので、老年の2人が店の雰囲気に馴染むことができるか心配ではあったが、カウンター席が空いていたので「どうぞ」と案内した。
「この店はワインはあるの? ワインは?」