自民党の優位性がガタガタ崩れても政権交代は根付かない―野党がとるべき戦略とは(三浦瑠麗)

国際政治学者三浦瑠麗氏の全3回短期集中連載「政界再編」。第2回のテーマは「政権交代」だ。岸田政権、そして自民党の支持率は低迷している。「いよいよ政権交代か」という声が高まる一方で、「民主党政権の3年間の経験から実現しない」と指摘する声もあがる。しかし三浦氏はこの意見に首をかしげるーー。
目次
世論調査で自民党の支持率が落ちているわけ
岸田政権の支持率は下げ止まったが、自民党の支持率が地に落ちているということが言われる。首相のすげ替えでは自民党はどうにもならないという意見がある一方で、とはいっても野党のいまの体たらくでは政権交代は望めないという意見もある。どれも現象面を叙述したもので、なぜそうなのかという理由を正面から説明する向きは少ない。
民主党政権の3年間の経験で、人びとが「政権交代」に希望を抱けないからだとする人々もいる。しかし、この意見には首をかしげざるを得ない。日本人は1990年代、くるくると政権を交代させ、そのいずれも大して評価されなかったにもかかわらず新党に期待し続けた。民主党の3年間が特別だったのではなく、いまの自民党が漠とした支持を得すぎているというのが実際のところなのではないか。そして、強いリーダーなきあと、自民党が実際に選挙で過半数割れすれば、その優位性はガタガタと崩れるのではないかと私は見ている。要は、勝てないから期待されず、負けないから支持されるというまるでトートロジーのような理屈だ。