タイ・バンコクに住み着いた沈没日本人の末路…シャブ中、セックス中毒、クーロン黒沢が語る「ジュライホテル」「豊かな青春、惨めな老後」

ホスト売り掛け問題、松本人志問題、セクシー懇親会…混沌とした日本のニュースに気が滅入る人も多そうだが、アジアはもっとカオスだった。紛争中の1997年からカンボジア・プノンペンに住み、『怪しいアジアの歩き方』などの著作があるクーロン黒沢が、アジア・アンダーグラウンドの今をお伝えする――。
東南アジアの大国・タイは2022年6月、大麻の使用を解禁したが、その危険性を顧みたタイの新政権が、2024年内に大麻禁止の法案可決に向けて動いている最中だ。
第1回は、80年代かつてのバンコクで、そんな危険な麻薬と買春に溺れた日本人バックパッカーたちの凋落を追う。連載「世界一受けたくない授業」
目次
バンコクの中華街にあった暗黒宿「ジュライホテル」
日本円が四半世紀ぶりの低レートを記録。海外旅行も高くつく時代になった。
エロ侍の楽園・タイランドでは、1万円が3000バーツを割る異常事態に。参考までに、私がバックパッカーだった20年前は1万円=4000バーツだった。当時のソープは1000バーツ程度だったから、1万円両替するごとにソープ1回分損した気分。といえば、なんとなくわかってもらえるかもしれない。
そんな私は19歳にして、バンコクは中華街にあるジュライホテルという暗黒ホテルに迷い込み、この宿に大勢住み着いていた、女と麻薬しか眼中にない、人間失格の異次元旅行者たちに衝撃を受け、年に3回通うほどハマり込んだ。

かつてはエロ旅人の修行場だったジュライホテル=タイ・バンコク(2022年撮影)
タイくんだりまで来て、宿からほとんど外に出ない旅の先輩たち。忙しいと言いながら1日7回、売春宿に通うオヤジをはじめ、人生で交わった全女性(日本人の元嫁含む)との性交体験を、回数から満足度まで数十冊のノートにびっしり記すセックス・スコアラーなど、オリンピック級の変人がごろごろ。私はここで、ふた周りほど歳上の教授陣から、アジア旅行の狂ったイロハを叩き込まれて今に至る。