なぜ?2023年は安芸高田のふるさと納税が突如2倍に…市議会をエンタメ化し寄付金を伸ばすことは「是」なのか、本来の趣旨から逸脱していないか

都知事選への出馬を表明した広島県安芸高田市の石丸伸二市長。SNSを通じた発信力で注目を集め、日本一バズる市長として話題を呼んでいた。みんかぶでも過去にロングインタビューを掲載したが、国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は都知事としての資質については疑問を投げかける。連続3回寄稿の第2回は安芸高田市のふるさと納税について、分析するーー。
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その本来の趣旨とは逸脱した形で寄付金を集める自治体
ふるさと納税市場は年々拡大している。ふるさと納税に関する現況調査結果(2023年度実施)によると、2022年度の実績は、約9,654億円(対前年度比:約1.2倍)、約5,184万件(同:約1.2倍)という驚くべき規模に成長している。2023年のふるさと納税総額の集計結果が1兆円の大台を突破していることはほぼ確実だ。約10年前に100~300億円程度しかふるさと納税の利用実績が無かった頃に比べれば隔世の感がある。
しかし、ふるさと納税に関しては、その本来の趣旨とは逸脱した形で寄付金を集める自治体が出てきて度々問題になってきた。たとえば、泉佐野市がアマゾンギフト券を返礼品として荒稼ぎしたことで、総務省が激怒してふるさと納税制度から追放したことがある。この騒動は最高裁まで裁判が行われて最終的に総務省が除外指定を取り消す形で決着がついた。
また、本来は地方自治体の財政支援となるように作られた制度がいつの間にか豪華返礼品競争となっていた現実を踏まえて、総務省は返礼品等に係る経費を50%以内にまで抑えるように求めている。実際、寄付金の半分以上が当該寄付先の地方自治体まで届かないというのは、制度趣旨に照らし合わせて極めて不誠実な仕組みだと言えよう。
なぜ?2023年は安芸高田のふるさと納税が突如2倍増
さて、このような問題児のふるさと納税制度に関して、新たな珍事例が生まれたことは興味深い。その珍事例とは安芸高田市のふるさと納税の有様である。安芸高田市は2020年8月に石丸伸二市長が誕生した。これは河合克行前衆議員議員の選挙違反による不祥事に伴う市長選の結果であった。