全ては麻生太郎次第だった…「最後の帝王」が日本の未来を決める!高市か、小泉か、それとも「石破5度目の正直シナリオ」

事実上の次期首相選びとなる自民党総裁選は、いよいよ9月27日投開票される。過去最多の9人が立候補した今回は、国会議員票と党員・党友票が同数の1回目の投票では決着がつかず、上位2人による決選投票にもつれ込むことが確実な情勢だ。経済アナリストの佐藤健太氏は「1回目の投票では石破茂元幹事長のトップは動かない。ただ、決選投票は自民党唯一の派閥として存続させた麻生派の麻生太郎副総裁がカギを握るだろう」と見る。
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上位の3人は“不動”
主要メディアの調査を見れば、上位の3人は“不動”だ。国民からの人気が高い石破氏が党員・党友票でトップに立ち、保守派の代表格として高市早苗経済安全保障相が猛追。失速気味の小泉進次郎元環境相が国会議員票で巻き返しを図るという構図が浮かび上がる。いずれの候補も1回目の投票では過半数を超えられないという分析も共通する。
問題は、決選投票は上位2人のみが進めるということだ。直近の報道各社の調査では石破氏がトップを維持しているが、「2位」は高市氏なのか小泉氏なのかで分かれている。9月25日付の読売新聞1面はトップの石破氏が国会議員票28票、党員・党友票98票で計126票を獲得。2位の高市氏はそれぞれ31票、94票の計125票と迫る。小泉氏は3位で54票、60票の計114票という分析だ。
気になるのは、9月23日に放送されたNHKの分析
もちろん、「未定・未回答」がそれぞれ70票、33票の計103票に上っているため状況は最後までわからないと言えるのだが、日本テレビなども同じ順位を予想している。このトレンドに基づけば、小泉氏は決選投票に進出できず「石破VS高市」によって次期首相が決まることになる。
ただ気になるのは、9月23日に放送されたNHKの分析だ。368人の所属国会議員のうち約70人が「まだ決めていない」とした上で、「小泉氏・石破氏・高市氏」の順で名前を報じた。一般的に選挙報道では先に名がある方が優位とされており、それに基づくならば今度は高市氏が「3位」となる。
国会議員票の動向分析では、小泉氏がトップの約50人の支持を固め、石破氏と高市氏はそれぞれ30人以上というものだ。国会議員票と同数の368票が割り当てられた党員・党友票を合わせ、この3人が激しく争う混戦としている。
「ひっくり返せないほど離れていない状況」
なぜNHKは読売新聞や日テレなどと名前の順番が異なったのか。その理由について、NHK政治部記者は「調査した時点では小泉氏の国会議員票が高めに出ている。『態度未定』の議員がどの候補に投票するかで決まるため、可能性としては小泉氏が決選投票に残ることも考えられる」と説明する。
結局のところ、議員票と党員・党友票のどちらに重きを置くかで報じ方が異なるものの、三つ巴の戦いは「ひっくり返せないほど離れていない状況」(自民党中堅)ということだ。読売新聞の分析を前提にすれば、「3位」の小泉氏が2位以内に入るには議員票でさらに10票超を上積みできれば良いことになる。
では、議員票のポイントはどこにあるのか。自民党担当の全国紙政治部記者は「旧安倍派の参院議員がまとまって投票行動を共にするのかも気になるが、やはり麻生派の動向が勝敗を分けることになるのではないか」と見る。今回、麻生派からは河野太郎デジタル相が立候補している。だが、派閥所属議員は一枚岩で支援しているとはいえず、読売新聞の情勢調査でも河野氏は推薦人(20人)をわずかに上回る議員25人からしか支持を得ていない。
麻生太郎副総裁が発するメッセージが注目される
9人の候補者の推薦人を見ると、麻生派からは河野氏に18人、上川陽子外相に9人、小林鷹之前経済安保相に4人、高市氏と茂木敏充幹事長に2人、小泉氏と加藤勝信元官房長官に1人が推薦人となっている。ゼロなのは石破氏と林芳正官房長官だけだ。決選投票が「石破・高市・小泉」の中から2人に絞られれば、麻生派の大半が行き場を失うため、派閥会長の麻生太郎副総裁が発するメッセージが注目されるというわけだ。