吉田豪が松本人志と中居正広にいま思うこと…「あのインタビューはちょっとショックだった」「20年以上前からの噂」

昨年から今年にかけて、芸能界における大きなニュースは途絶えることがなかった。松本人志、中居正広といったネガティブな話題がある一方で、新たな人気タレントや人気コンテンツが誕生するなど、変化はとどまることを知らない。プロインタビュアー・吉田豪氏はこの激動をどう見ていたのか、鋭い視点を通して今後の芸能界のゆくえを考えてみたい。みんかぶプレミアム特集「業界大予測」第5回。
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藤井健太郎演出の番組はすべてチェック
子供の頃からテレビはどうかしたレベルで大好きだったんですが、就職してからは忙しくてほとんど見られなくなってたので、最近はTVerとか動画配信サービスで後からテレビを見られるようになったから本当にいい時代だなと思いますね。いまはU-NEXT、Netflix、ABEMA(課金するとアーカイブが見られる)、Amazonプライムビデオ、DMM TV、YouTube(課金するとCMがなくなる)、なんかいオンデマンドと、映画もろくに見ないタイプなのに片っ端から課金していて(たまにhuluも)、その中でも去年面白かったのはやっぱり藤井健太郎(TBSディレクター)さんの番組でした。『水曜日のダウンタウン』は当然として、ネット配信の番組も全部見ましたね。
地上波のギリギリを攻めつつ、地上波ではできないギリギリアウトなことも配信ではやっているという2本柱があるのが大きいんでしょうね。その結果、ちゃんと問題にもなりましたけど(笑)。とはいえ、問題になったAmazonプライムの『KILLAH KUTS』内の「麻酔ダイイングメッセージ」にしても、問題になったらすぐにカットされた部分も含む完全版をYouTubeで無料公開したりとか、そのフットワークの軽さもさすがでした。ちなみに放送作家のオークラさんと組んだガチドッキリとドラマの融合企画『鬼のドッキリで涙』(DMM TV)はビックリするぐらい話題にならなかったんですけど、それは藤井さんの悪意がオークラさんによって中和されたからなのかなと思ったりもしましたね。
そして最近の『水曜日のダウンタウン』は藤井さんのVTR頼りになりすぎちゃっているというか、松本人志さんが休業して以降、スタジオで誰かがオチをつける要素が明らかに弱くなってると思うんですよ。「名探偵津田」も「電気椅子ゲーム」も、もちろんすごい面白かったんですけど、あそこに大喜利力のあるゲストがいたらもっと面白くなっていたんじゃないのかなって。その能力の高いバカリズムさんとかが頑張ってはいるけれど、やっぱりあの番組でそれをやれていたのは松本人志さんだったなと改めて思ってます。
松本人志の最新インタビューは「ちょっとショック」
そんな松本さんのインタビューが昨年末にYahoo!個人で公開されて、もちろんボクも読みました。感想としては、もうちょっと一般的なメディアで受けるべきだったなというのがまずありますよね。「Yahoo!個人って!」という。あまりにも仲の良い内輪の人にやっていただきました感が強すぎるし、これだけの期間と世間の反応があって、もうちょっと客観的になっている部分があるのかと思ったら全然なくて、そこはさすがにショックでした。事実無根だから裁判するって言って、結局裁判やめますって言っておきながら「お金の面がしんどい」って、いやそれは最初からわかってたじゃんっていう(笑)。この1年の休業期間で笑いの感覚がなまってないことと、あと世間の感覚とのズレが大きくなっていないことをとりあえずは祈りたいですね。
春に「ダウンタウンチャンネル(仮)」をやるってことですけど、それは正解だと思います。名誉回復のためには地上波復帰しか考えられないぐらいの人だと思ってたから、そこはまだ現実的で良かったなって。いまは見たい人だけお金を払うっていうシステムが一番健全というか、それしかないと思うんですよ。見たくない人の視界には決して入らない世界。以前、マキタスポーツさんが従来の広告収入をメインとした第一芸能界と、ファンの課金で直接稼ぐ第二芸能界があるとか言ってましたけど、それがより顕著になってきましたよね。広告収入がメインだから稼げるけどスキャンダルとか圧力に弱い旧来の芸能界がいま順調にガタがきていて、これから直接課金ビジネスにシフトしていく人がもっと増えていきそうな気がしています。
それこそ藤井健太郎さんはTBSの社員だけど自由に動ける立場なので、「ダウンタウンチャンネル(仮)」でコンテンツを定期的に出せるぐらいの状況を作ればいいと思いますけどね。そういうバラエティ企画とかトークとか、どうか『ワイドナショー』的な報道番組には手を出さないで、週に2本ぐらい、1時間ぐらいのオリジナル番組が見られるだけでも月500円以上は払えますね。