石破総理の「楽しい日本」で国民は何を奪われるのか…ガソリン185円で国民生活大打撃!施政方針演説で無視された日本経済への処方箋

石破茂首相は1月24日召集された通常国会の施政方針演説で、人を“財産”として尊重する「人財尊重社会を築いていく」と表明した。防災から財政、外交・外交安全保障まで多岐にわたる政策方針や姿勢を示し、「楽しい日本」をつくり上げるという。ただ、持論とする「地方創生」に熱は込められているが、その他は各省庁から寄せ集めたものを羅列した感が否めない。なぜ石破首相が発する言葉は人々の心に響かないのか。経済アナリストの佐藤健太氏は「そもそも目指すべき国家ビジョンがなく、首相に就いた後も“評論家”の域を出ていない」と指弾する。
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“処方箋”が語られることはなかった
まだ「このレベルなのか」と辟易した人は少なくないのではないか。第102代首相に就任し、自ら「納得と共感内閣」と名付けたのは昨年10月1日。就任8日後に衆院を解散し、大惨敗で少数与党になったのは記憶に新しい。さすがに4カ月も経てば自身に足りない点を反省した上で、いよいよ「石破カラー」が打ち出されるものと期待した。
だが、初めての施政方針演説で石破首相が並べた言葉の数々はあまりに残念なものだった。首相は日本の生産年齢人口が今後20年で1500万人弱、2割以上減少すると見込まれることに触れ、「人口増加期に作り上げられた経済社会システムを検証し、中長期的に信頼される持続可能なシステムへと転換していくことが求められている」と指摘。その上で「年齢や障害の有無にかかわらず、希少な人材を大事にする社会づくり、すなわち国民一人ひとりの幸福実現を可能にする『人中心』の国づくりを進め、すべての人が幸せを実感できる、人を財産として尊重する『人財尊重社会』を築いていく必要がある」と表明した。
もちろん、少子高齢化と人口減少が同時に進む日本において国家としての活力をいかに保っていくのかは極めて重要だ。戦後や高度経済成長期の経済社会システムは次々と崩壊し、人口減を踏まえたものに転換していかなければならない。しかし、一国の宰相から目指すべき国家像に基づく“処方箋”が語られることはなかったのだ。
しかも、首相は「人財尊重社会」における経済政策で最重視するのは賃上げであるとした上で「賃上げこそが『成長戦略の要』との認識の下、物価上昇に負けない賃上げを起点として国民の所得と経済全体の生産性向上を図っていく」と述べた。「人」に着目し、それを大切にするのは当然だ。
「楽しい日本」という国家像
首相は賃上げによる効果が出るまでの間、物価高対策も講じると述べてはいるが、それは昨年11月に決定された「総合経済対策」のレベルにとどまるというのだから期待外れとしか言いようがない。