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石破・トランプ会談を京大教授が酷評!対米150兆円投資は「保身」「売国」…何か具体的に得られたものは「何もなかった」という現実

(c) AdobeStock

 石破茂首相がトランプ米大統領に“完敗”した。初対面となった2月7日の首脳会談を終えて「相性は合う」と誇示した首相だが、2日後にはトランプ氏が米国に輸入される全ての鉄鋼・アルミニウムに25%の関税を課すと表明。日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画も「誰も過半数の株を持つことはできない」と言及したのだ。また京都大学教授の藤井聡氏はXで対米150兆円については米国に媚びて『保身』を図るための,おぞましき石破の『売国』行為である」「そんな巨額投資は米国じゃなくて日本に行えばデフレ脱却&生産性向上が実現するじゃないか!」と批判した。

 そんな中経済アナリストの佐藤健太氏は「日本では訪米成果を評価する声があるが、石破氏は短命政権に終わると『子供扱い』されたように見える。この“代償”は高くつくだろう」と指弾する。佐藤氏が解説するーー。

目次

驚くばかりの“ヨイショ”を繰り返した石破

 予想通りとはいえ、あまりに恥ずかしい結果と言えるのではないか。米ワシントンで会談に臨んだ石破首相は何度もトランプ大統領を持ち上げる発言を繰り返し、日本からの対米投資額を1兆ドル(約150兆円)に引き上げると説明。対日貿易赤字の解消に強い決意を示すトランプ氏に最大限の配慮を示し、米国からLNG(液化天然ガス)などの輸入を大幅に拡大していく考えを表明した。

 誤解を恐れずに言えば、石破首相の1泊3日の米国出張は貢物を献上する「朝貢」を感じさせる。官僚との勉強会を重ね、対トランプ戦略を練ってきたという首相は米大統領選でトランプ氏が狙撃されたことに触れ、「ひるむことなく立ち上がり、拳を天に突き上げた写真は歴史に残る」と褒めたたえ、「日本は米国に対する投資額が世界一」「いすゞが新たに米国において工場をつくる」などと驚くばかりの“ヨイショ”を繰り返した。

 首脳会談後、驚かされたのは首相本人の「自画自賛」と野党の「評価」だ。首相は2月9日のNHK番組で「これから先、かなり落ち着いてじっくり話ができるなという印象を持った。相性は合うと思う」と振り返り、日本テレビ番組では「(トランプ氏には)『NO』と言ってしまうと、全部ぶち壊れる。否定されることが大嫌いだということなので、否定はしない」などと攻略方法をしたり顔で打ち明けてみせた。

 菅義偉元首相や麻生太郎元首相らから事前に対トランプ氏攻略の助言を受け、長々と持説を展開して結論までに時間がかかる「石破構文」を封印したのが良かったと言いたかったのだろう。米国の対日貿易赤字解消につながるLNG輸入も「日本の国益にかなう」と自信を見せる。

トランプ氏から石破首相は何を具体的に得られたというのか

 野党である立憲民主党の野田佳彦代表は「一定の議論ができたのではないか」とし、日本維新の会の前原誠司共同代表は「日米同盟の抑止力・対処力強化を確認したことを歓迎する」、国民民主党の古川元久代表代行も「率直に評価したい」などと評価した。

 だが、本当に今回の訪米は「高評価」を得られたものだったのだろうか。同盟関係にある日米両国が外交・安全保障面で共通認識を持つのは当然のことだ。だが、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏から石破首相は何を具体的に得られたというのか。はっきり言えば、それは1つもない。政府関係者は「思っていたよりも和やかな雰囲気で、トランプ氏が首相を気遣っていた」と語るのだが、それが“成果”と言われてしまうと日本のトップリーダーとして何のために訪米したのかと思いたくもなる。「やれることは全てやった」と英雄気取りの首相から日本国民は何を得られたというのだろうか。

 たしかにトランプ氏は「アイ ラブ ジャパン」と首相を出迎え、「ナイスガイ」「良い答えだ」などと首相を評した。だが、最前線で他国とビジネスをやったことがある人ならばトランプ氏の機嫌がなぜ良かったのかわかるだろう。あらゆる面で「ディール」(取引)を駆使し、相手の譲歩を引き出すトランプ氏が首相に気を遣ったことの意味を首相自身は理解していないように映る。

土産に「金の兜」代わりにもらったトランプ氏の「写真集」

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この記事の著者
佐藤健太

ライフプランのFP相談サービス『マネーセージ』(https://moneysage.jp)執行役員(CMO)。心理カウンセラー・デジタル×教育アナリスト。社会問題から政治・経済まで幅広いテーマでソーシャルリスニングも用いた分析を行い、各種コンサルティングも担う。様々なメディアでコラムニストとしても活躍している

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