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倒産連鎖が止まらない!生き残りをかけた大再編が始まる…企業倒産件数は33カ月連続で前年同月を上回り…海外アクティビストが虎視眈々と狙う安い日本企業リスト

(c) AdobeStock

本稿で紹介している個別銘柄:愛知製鋼(5482)、住友商事(8053)、コニカミノルタ(4902)、小林製薬(4967)、ユタカフーズ(2806)

 日本で倒産連鎖が止まらない。25年1月の企業倒産件数は33カ月連続で前年同月を上回り、戦後最長記録を更新したという。このような環境下で、投資家はどのように市場と向き合っていけばいいのか。株式評論家の木戸次郎氏が注目テーマ・銘柄とあわせて論じるーー。みんかぶプレミアム特集「資本主義の終わり」第一回。

目次

日銀の利上げ路線は止まらない…円高シフトが鮮明に

 さて、為替市場を見ている限り、大方の予測に反して徐々に円高にシフトしているのは明白だと思う。これは私がかねてから指摘していたように、日米金利差の縮小観測によるものが大きいのは言うまでもないが、日銀は利上げ路線を進まざるを得ない状況になってきているという事の証だと思う。

 国内債券市場で長期金利の指標となるものとして新発10年債利回りがあるが、1月の決定会合で日銀が政策金利を0.5%に引き上げた以降も長期金利の上昇は止まらず、何と約15年ぶりに1.44%台まで上昇してきているのだ。こればかりか、20年物は2.05%、5年物も1.09%、2年物でも0.82%をそれぞれ超えてきている。このいずれもが14~16年ぶりの水準であるのを見ても日本の事情だけで十分に利上げ路線を歩むであろうことは容易にわかる。

2月だけでも1656品目で値上げ…25年1月の企業倒産件数は33カ月連続で前年同月を上回り、戦後最長記録を更新

 また、相変わらずの物価高騰が続いている。2月だけでも1656品目で値上げをしていて、始まったばかりの2025年の値上げは累計で既に8000品目を突破している。最近では異常気象による米の不作に加え、これまで国が推し進めてきた減反政策の失敗が令和の米騒動に拍車をかけていて米の小売価格は軒並み二倍近くまで値上がりしている。

 更に葉物野菜も不作で例年の2~3倍の値上がりを記録し、温暖化による海水温の変化で庶民の見方であるサバやイカが高級後のような高値で取引されるなど、物価高騰の波は留まるところを知らない。

 帝国データバンク(本社:東京都港区)によると2025年1月の企業倒産件数は830件と前年同月の700件を大きく超え、33カ月連続で前年同月を上回り、何と戦後最長の記録を更新している。更に1月16日をもってガソリン補助金が完全廃止されたことを受け、ガソリンは軒並み10円以上高くなっている。そう考えると2月はこのワースト記録を間違いなく更新するであろうし、国民の不満は高まるばかりであろうと思う。

財務省解体デモを報じないオールドメディアの不思議

 そうした国民の不満や声はこれまでと違う形で表われはじめてきている。天皇誕生日の振り替え休日であった2月24日に東京霞が関の財務省前で行われた「財務省解体」と「消費税廃止」を訴えたデモに約1000人もの人が参加したというのだ。参加者はYouTubeなどSNSを観てどんどん拡散していき結果的にここまで膨らんだそうだ。客観的に見ても財務省前で1000人のデモと言えば、大事件である。

 しかし、不思議なことに24日のテレビや新聞を読んでもこのニュースが全く取り上げられていない。先般のフジテレビの不祥事でも言われていたが、オールドメディアでの慣例ともいうべき旧態依然とした組織の在り方や報道の仕方、国や財務省などへの忖度という姿勢そのものが問われているのである。ありのままの事実をありのまま伝えるというのがマスメディアの本分であるはずだ。そういった意味でオールドメディアは様々なさじ加減をしているうちに湾曲していったんだと思う。

 今回のこの1000人のデモはオールドメディアや国からしたら小さな綻びに過ぎないかもしれないが、大いに意味ある一歩であるのは間違いないであろう。

自民党の支持率が急落、国民民主・れいわが30代に人気

 また、産経・FNNの合同世論調査によると18歳~29歳の若年層での自民党の支持率が11.8%、30代でも11.2%と極めて低い結果が出た。立憲民主党は野党根性でともかく自民党に反対という一辺倒の姿勢に若年層はうんざりしているのか昨年は11%以上あった支持率が2025年2月では1.5%と急落している。

 特に30代においては103万の壁の見直しを迫る国民民主、自民、そしてれいわ新選組の三党が鎬を削る展開となっている。中でもれいわ新選組の支持率は何と自民党を上回っており、山本党首自らが各地で支援者らとの「おしゃべり会」やデモ活動を精力的に展開していることが一因に挙げられるようだ。先程のデモの話もそうだが、政治の根幹が変化するタイミングが訪れつつあるのかもしれない。

 国会運営を見ていても自民党が常に過半数を確保して与党主導での政権運営をしていく構図は今後は更に難しくなり、国民民主党や平成維新の会、れいわ新選組などと個別の政策課題ごとに合意形成を図っていくスタイルが通常になっていくような気がするし、若年層を中心にそれを良しとする世論が増えていく気がする。夏の参議院選挙もこうした流れはより顕著化すると考えている。

我々日本人はいつの間にか安売り国の貧乏な住人になってしまった…子供食堂にはたくさんの子供たちが集う

 さて、これまでの円安放置政策は日本経済の根幹を支える輸出産業には超追い風となるので税収などの字面だけは良くなるものの、日本の実態経済そのものはかなり傷んでしまったといえる。円安が円弱になり、我々日本人はいつの間にか安売り国の貧乏な住人になってしまったのだ。

 些か余談だが、赤坂にコスパも味も素晴らしい人気のフレンチビストロで「アジル」という名店があるが、この「アジル」の支店が大田区の蒲田にもある。

 雰囲気の良いシックなインテリアの店内に1/4ほどは大きな個室に仕切られていて、そこだけはメルヘンチックな異空間になっていた。実は「アジル」蒲田店はそのスペースで「子ども食堂」のボランティアをしているのだ。

 子ども食堂とは貧困家庭の子供や親子向けに、子供たちの孤食防止や居場所作りのために設置され、無料ないしは安価で食べ物と場所を提供する社会活動だ。いつもその部屋には多くの子供が訪れていて、食事が終わるとシェフやスタッフに丁寧に「ごちそうさまでした」と挨拶をして帰るのだが、微笑ましい反面、利用する子供の多さに驚かされもする。

 シェフは「子供には罪はありませんから」と優しい笑顔を見せるが、円安放置による不況、激しい二極化の末に子供に満足な食事も与えられない貧困に喘ぐ家庭がこんなに多いのかと改めて突き付けられた思いがした。

 残念ながら、「アジル」蒲田店は原材料高騰と人手不足によって2月28日を以て閉店となるが、閉店最終日までこども食堂を続け、子ども食堂を引き継いでくれるところを模索していくという。

安い日本で中国人が不動産を爆買い…鎌倉小町通りで起きているひどすぎる現実

 こうした厳しい現実の一方で、東京の新築マンションの価格高騰がニュースになっている。何と平均価格が初めて1億円を突破したそうだ。この5年間でも60%以上値上がりしており、安い円で購入した不動産資産がたった5年で6割も上がるのならインバウンドの外国人が不動産投資に群がるのも無理はないであろうと思う。それでいて、販売戸数はバブル崩壊時の1992年以来の落ち込みだというのを考えても、実需ではなく、中国人をはじめとしたインバウンドによる投資用マンションの購入が大半の需要を占めているというのはうかがえるところだ。 

 先日も鎌倉の小町通りに店舗を構える知人が嘆いていたが、古都鎌倉の小町通りと言えば鶴岡八幡宮の参道ともいうべき若宮大路と平行する鶴岡八幡宮門前までつづく由緒ある通りで、伝統的な土産物屋が立ち並んでいるのだが、ここ最近、小町通り沿いの不動産を中国人が買い漁ってインバウンド向けの店を次々とオープンさせたために様相が全く変わってしまったそうだ。

 小町通りは鎌倉市公共の場所におけるマナーの向上に関する条例で食べ歩きは禁止されているにもかかわらず、インバウンド観光客はこの条例を全く理解しておらず、食べ歩きによる大量のポイ捨てゴミに悩まされているのだという。オーバーツーリズムもマナーの悪さが相まって、来るところまで来たという印象が拭いきれない。

 日本もバブルの時代にニューヨークのロックフェラーセンターを買って、ほんの束の間、鬼の首を獲った気でいたが、あれから35年経って、今度は我々が中国人投資家に東京のレジデンス、オフィスビル、ニセコや白馬、沖縄などのリゾートに至るまでどんどん不動産を買い漁られてしまっているのが現実だ。これから、私の想定通りにどんどん円高にシフトしていけば外貨による投資目的の物件の売却は進むと考えている。 

米国経済の先行きが不透明になってきた理由

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この記事の著者
木戸次郎

1965年生まれ。明治大学政治経済学部卒。 地場証券会社を経て投資顧問会社の代表取締役。その後、ベトナム国営バオベト証券バオベトジャパン理事、ベトナム国防省タイソングループ顧問、外資系ファンドの戦略アドバイザーを経て現在はTMI総合法律事務所のマーケティング担当。著書にベストセラーとなった『修羅場のマネー哲学』(幻冬舎)『修羅場の鉄則』(幻冬舎)、『木戸次郎の大化け株』(宝島社)、『株はあと2年でやめなさい』(第二海援隊)、『常勝の株』(講談社)ほか多数。

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