なぜ?30代の支持率で自民が国民民主、れいわに負ける…減税や「103万円の壁見直し」否定する「自民と維新」を見捨てる若者

今夏の参院選を前に自民党に危機感が充満している。石破茂政権の内閣支持率や自民党の政党支持率は比較的安定しているものの、若年層の支持が落ち込んでいるためだ。逆に、昨秋の総選挙で議席を4倍増した国民民主党に加え、れいわ新選組は18歳から30代で支持を拡大する。なぜなのか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。
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予算規模が7兆円でも少子化対策として実効性のある施策を打ち出せないこども家庭庁
戦後何十年にも渡って自民党政権は「バラマキ」と「増税」を繰り返すことで求心力を維持するビジネスモデルを展開してきた。しかし、SNSの発展により、その実態が白日のもとにさらされ、保守層からの支持を加速度的に失っている。従来であれば、メディアによる情報統制や政権寄りの論調によって批判をかわすことができたが、個人が自由に情報を発信できる環境が整ったことで、もはや隠し通せなくなったのである。
そもそも、国の発展を願うことは、自由主義国家であれ社会主義国家であれ、基本的な国家運営の前提である。「愛国」的な姿勢は保守の一要素にすぎず、愛国心があるからといって即座に「保守」とは言えない。事実、中国や北朝鮮、かつてのソ連は、国家への忠誠と愛国心を強調してきたが、それらは決して「保守」ではなかった。むしろ、独裁体制や国家統制の強化に結びつくものだった。
では、「保守」とは何か。それは、単なる現状維持ではなく、「良きものを後世へと送り届ける」ことに尽きる。伝統や制度の中には、時代に適応しながら守るべきものもあれば、逆に悪習として断ち切らなければならないものもある。単に古いものを守るのではなく、本質的に価値あるものを継承し、時代に即した形で発展させていくことこそが「保守」の本質である。
例えば、政府が設立したこども家庭庁は、その予算規模が7兆円にも及ぶにもかかわらず、少子化対策として実効性のある施策を打ち出せていない。出生率を改善するどころか、的外れな政策に巨額の税金が投入され、その挙句、新たな「子育て支援金」という形で国民に増税を押し付けるという有様だ。これは「保守」どころか、むしろ国家が国民の自由を奪い、財産を収奪する社会主義的政策に近い。
政府や大手メディアが情報をコントロールできなくなっている
効果のない施策を続けることで、将来的にはさらなる税負担と財政悪化を招く悪循環を生み出している。
こども家庭庁の担当者の発言を聞いていても、彼ら自身が自らの施策に対して確固たる効果を見出せていないことが明らかだ。存在意義すら自覚できていない機関に7兆円もの税金を投入することが「保守」の名に値するはずがない。同様に、「新しい資本主義」「半導体支援」「大阪万博」「教育費無償化」など、近年政府が次々と打ち出してきた政策の多くは、税金を湯水のごとく投入することで成り立っている。にもかかわらず、それらが持続的な経済成長や国民生活の向上にどれほど寄与するのかは極めて不透明である。むしろ、国民の負担が増し、政府への依存を強めるだけの政策に過ぎないのではないか。