小学校受験で評価される「縁故」…慶應義塾横浜初等部や東京農大稲花小など新設校が小受ブームをけん引!なぜ親の学歴も重視されるのか

中学受験ブームは止まるところを知らないが、その一方、首都圏の家庭の間で人気の高まりを見せているのが小学校受験だ。
『小学校受験は戦略が9割』(新潮社)著者の教育インフルエンサー・狼侍氏は「小学校受験は中学受験と高校受験のいいとこ取りとも言えます」と話す。なぜ首都圏の教育熱心な家庭は小学校受験を選択するのかーー。みんかぶプレミアム特集「天才の育て方」第4回。
目次
小学校受験は中学受験と高校受験のいいとこ取り?
小学校受験すべきかどうかは、「持ち家vs賃貸」論争と似たようなもので、結局は親御さんが子供にどういう教育を受けさせたいのか、という個々人の価値観の違いによって答えが決まります。
例えば、「近所の学校に通って地域の友達と過ごしてほしい」という価値観を持つご家庭なら、一番近くにある公立の小学校を選ぶのがそのご家庭にとっての正解です。近所に私立の小学校があれば私立でもいいかもしれません。
著書にも書きましたが、小学校受験をして私立小学校に入る魅力の一つは、中学受験と高校受験のいいとこ取りができることです。
小学校から12年間の一貫教育のある学園では、過酷と言われる中学受験をせずに小学校時代を過ごせたり、高校受験もなく中高一貫教育を受けることができます。
一方、難点もあります。概ね年間100万円ほどが学費は掛かりますし、中学受験に比べれば学校の選択肢も少ないです。また、親の負担もあり、良くも悪くも固定化された人間関係に疲弊してしまう場合もあります。
こうした魅力・難点を冷静に考えた上で、私立小学校の受験を検討すべきでしょう。
最近増えているのは「中学受験回避」のために小学校受験を選択するご家庭
では、従来、どういうご家庭が私立小学校を選択してきたのかというと、「この小学校の”初等教育“を受けさせたい」という強い思いがあるご家庭です。
例えば、「慶應義塾幼稚舎での人脈づくりが絶対」というようなご家庭は分かりやすいです。他にも、「我が家は代々学習院初等科」「祖母も母親も雙葉小学校」というご家庭もあるでしょう。そういうご家庭が、従来は私立小学校のメイン層でした。
伝統的な私立小学校家庭層が求めるものとして、一番大きいのは、「竹馬の友」となる友人との絆です。ある芸能人の「一番の友達は幼稚舎時代の友達」という話を耳にしたことがあるかもしれませんが、そうした強固で質の高い「絆」を求めるご家庭は多いです。
そうした伝統的な価値観の層は、資産家であったり、著名なご家系であったりすることも少なくありません。
一方で、最近増えているのが、「中学受験回避」のために小学校受験を選択するご家庭です。
こうしたご家庭は、小学校からの一貫教育を存分に活用して、中学受験や高校受験がない分、習い事や課外活動など他の何かに打ち込ませたい、という気持ちを持っていらっしゃることが多いです。
また、こういったご家庭に特に人気なのが、慶應義塾横浜初等部や東京農業大学稲花小学校などの新設の私立小学校です。附属中学の高偏差値に引っ張られ、新規の小学校受験層の心をつかんでいます。中学受験回避層たちが、「ここならいいかな」と思える学校というわけです。