「え、こんなところに早稲田のキャンパスが!?」東大卒不動産評論家が驚く、入間のマニアックな魅力「米国風の街並みは多くの賞を受賞」

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 東大卒の不動産評論家・牧野知弘氏が住みやすい街について語る大好評連載、最新回は埼玉県の入間についてーー。

目次

「早稲田ってこんなところにもキャンパスあるんだ」と驚く

 私と入間市の出会いは割合最近です。私が主宰する全国渡り鳥生活倶楽部で倶楽部会員向けのハウスを探していた時に、お申し出があったのが入間市宮寺というところにある一軒家でした。

 西武池袋線「狭山ヶ丘」(所沢市)の駅からバスで現地へと向かうと、途中に早稲田大学があります。え?早稲田大学ってこんなところにもキャンパスがあるんだ、というのが最初の驚き。人間科学部、スポーツ科学部、大学院人間科学研究科、大学院スポーツ科学研究科があるそうです。広いキャンパスにたしかに「いかにもスポーツやってます!」といった感じの学生さんがたくさん道を歩いています。

緑の多い街で、リモートワークできる会社員にはおすすめ

 バス停を降りて現地に向かうと、緑の多さに気づかされます。宮寺から南には狭山丘陵が広がります。高台に緑の風がさっと吹き抜ける、そんなさわやかさが心地よいです。お借り受けするハウスはこの狭山丘陵の手前にあり、周囲は長閑な田畑に囲まれていますが決して田舎っぽさはなく、すぐに借りる手続きをしました。都心を離れてしばらく滞在するにはなんともいえずに自然を感じることができる素晴らしい場所だと実感したからです。

 この緑に誘われて、狭山丘陵に歩みを進めると、さいたま緑の森博物館があります。狭山丘陵の森林や植生、棲息する生き物たちについて詳しく展示されています。休みの日には多くの家族連れで賑わうそうです。丘陵内にはよく整備された散策道があり、東に向かうとトンボの池、トトロの森が広がり、さきほど通過した早稲田大学のキャンパスが見えます。狭山湖や多摩湖にも近く、少し足を伸ばせば、西武ゆうえんち、野球好きには西武ライオンズの本拠地ベルーナドームにもアクセスできます。

 当日は出向きませんでしたが、街の西北には加治丘陵が広がります。武蔵野音楽大学入間キャンパス、同附属高等学校があり、飯能市側にはムーミンで有名なトーベヤンソンあけぼの子供の森公園につながります。

池袋まで急行で45分、特急なら40分。インターチェンジも近く車の利便性もよい

 都心のタワマン住まいもよいけれど、リモートワークを組み合わせたハイブリッド型勤務になったワーカーなどはこんな街に住んでみても悪くないなと思いました。

 さて入間市について概観してみましょう。入間市は埼玉県の北西部、所沢市の隣にある人口14万2千人の街です。市内には2つの鉄道が走ります。市の北東から北に向かっていく西武池袋線には池袋よりから順に、武蔵藤沢、入間市、仏子、元加治の4つの駅があります。市の西部をかすめるのがJR八高線で金子という駅があります。この駅はどちらかと言えば、西隣の東京都青梅市に近い街です。どちらの路線も市内の中心部を通ることはありません。

 入間市駅から都心へは意外と近いです。池袋までなら急行で45分、特急なら40分です。週末は電車で15分、所沢に出向けば、大型商業施設や公共施設が充実。最近出来て話題になった角川武蔵野ミュージアムは必見です。

 入間市の交通網の特徴は鉄道よりも車の利便性がよいことにあります。市内中心部には入間インターチェンジがあり、このインターを中心に、圏央道、国道468号線、463号線(所沢入間バイパス)、299号線(飯能入間バイパス)などが走ります。また国道16号線の沿線には三井アウトレットパークもあります。

 交通の要衝ともいえる入間インターチェンジの周辺は工業団地になっています。インター南には1966年にオープンした武蔵工業団地、その隣接地には97年にオープンした狭山台工業団地があります。大手ではフジパン、NTT印刷、安川電機などの工場、事業所が多数軒を連ねています。

入間といえば街並みの綺麗なジョンソンタウン

 そして入間市を語るうえでもうひとつ忘れられない街があります。東町一丁目、国道463号線沿線にあるジョンソンタウンです。この街は旧陸軍士官学校が戦後米軍に接収されジョンソン基地と呼ばれていたときに、周辺の土地をたくさん所有していた磯野商会が米軍住宅を建設していた場所です。

 1978年に基地は全面返還となり、現在は航空自衛隊入間基地になっていますが、磯野商会のオーナーが米軍住宅の一部を改装、整備し新しい街づくりに挑戦したものです。

多くの賞を受賞している

 2009年には街の名前をジョンソンタウンとして、アメリカにあるような白の木材を多用した平屋住宅を展開、米軍ハウス、平成ハウスなどと名付けた素敵な街並みを造り上げています。この街はあえて分譲せず、賃貸住宅として街並みを壊さないように腐心しており、一部はカフェ、レストラン、雑貨店などをテナントとして招き、街並みを形成しています。

 こうした試みが実を結び、2015年度都市景観大賞都市空間部門大賞を受賞したのを始め、日本建築学会賞(2017年)など多くの賞を受賞しています。宿泊できるハウスもありますので利用してみてください。一度、街並みを見る価値は十分ありますよ。

 さて埼玉県の入間市。自然が豊かなだけでなく、街並みをみる、お茶を嗜む、見聞を広める、スポーツを楽しむ、いろいろな楽しみ方がありそうです。まさに評価は◎。ハイブリッド型勤務の方、ぜひご検討ください。

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この記事の著者
牧野知弘

不動産事業プロデューサー。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て三井不動産勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て、2015年にオラガ総研株式会社の代表取締役に就任。ホテルなどの不動産事業プロデュースを展開している。著書に『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)など多数。

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