タワマンは未だに「供給不足だ」…人気マンションインフルエンサー「購入するなら!おすすめエリア・マンション」公開

「このタワマンを買えば、数年後には利益が出るかもしれない」。そんな期待を抱いてマンションを購入する都心のパワーカップルは少なくないだろう。ところが、Xフォロワー3万人超えのマンション好きの外資コンサル氏は「ついにタワマン市場はバブルに突入したかもしれない、と思える兆候が最近みられます」という。いったい、マンション市場に何が起きているのか。今からでも買って良いマンション・エリアの条件は何か。同氏に聞いたーー。みんかぶプレミアム特集「マンション 勝利の方程式」第7回。
目次
今はまだ「マンションバブル」は起きていない
今のマンション価格高騰が「バブルじゃない」と言える理由は3つあります。
1つ目の理由として、マンション価格がバブル状態だと主張している人々は、非常に限られた視野でマーケットを見ている傾向があります。彼らが注目しているのは主に都心のタワマンのみであり、実際にタワマン以外のマンション価格はそこまで大きく上昇していないのです。
「マンション価格はバブルだ」と声高に言う人たちは、東京や大阪都心のタワマンという特定セグメントだけを見ており、それ以外の一般的なマンションについては見落としていることが多いです。これら一般的なマンションはタワマンのような著しい価格上昇は経験していません。
首都圏の一般的マンションの値上がり率は平均して概ね年間0〜5%程度です(都心寄りにだと10%程度で郊外寄りになるとマイナスに転落することも)。これは現在の日本のインフレ率を考えれば当然の水準です。このような経済環境において、あらゆる財が値上がりしているのにマンションだけが値上がりしないというシナリオはあり得ないでしょう。つまり、普通のマンションについては、一般的なインフレ率と同程度の値上がりにとどまっているというのが実情なのです。
いまだにタワマン市場は「供給不足」である理由…一般のサラリーマン家庭がタワマンを購入できた時期がおかしかった
2つ目の理由として、多くの人が都心のタワマンをバブルだと主張していますが、その根拠が明確ではありません。私が観察している事実として、そもそもタワマンは庶民が購入できる価格である必要があるのでしょうか?一般的なサラリーマンが購入できないほどの価格まで高騰したことだけをもって、バブルだと判断するのは早計です。
タワマンを購入できる層は実際に多く存在します。例えば、年収3000万円の若い美容外科医や、大企業のエリート同士のパワーカップルで世帯年収3000万円の家庭、あるいは親からの相続や株式投資で金融資産1億円以上を保有している人々は珍しくないです。もちろん、中小企業オーナー家系、地主、有力な開業医など、もっと裕福な人もたくさんいます。少なくとも東京に限っては、一般的なサラリーマン家庭では認識することすら難しいレベルの日本人富裕層が多数存在し、更に外国人の富裕層も流入しています。
そういった富裕層の需要に対して、供給されるタワマンの戸数は限定的です。
昨今の建設費高騰の影響で、新築マンション自体が供給減少しており、2024年の東京23区の供給戸数は8275戸で前年比-30%でした。当然タワマンもその煽りを受け減少傾向であり、ピークだった2007〜2009年に比べ直近10年は半分以下の供給しかありません。建設費の原価高騰分を販売価格に転嫁かは立地で決まるので、東京や大阪の都心部以外のタワマン計画は採算が取れなくなって来ていますが、都心の用地はオフィスやホテルといった他の用途とも競合するため、タワマンを建設できる場所自体が減少しており、今後も供給増は見込めません。こうして都心のタワマンの希少価値が上がる中、それを買える・買いたい層というのは想像以上に存在し、定量的に検証はしきれませんが、売買の現場での高い流動性を見る限りはタワマンは需要過多・供給不足であると推察しています。
真のバブルとは「未来への期待値だけで実体経済とかけ離れて物件価格が上昇し続け、本来購入できない人々が無理して購入している状態」と考えます。しかし、現在のタワマン市場は実体経済とかけ離れているのか、無理して購入している人ばかりなのか?解消の見込みがない供給面の制約や、富裕層の旺盛なマネーを見ると、そうとは言い切れないと考えます。
実は多くの人が東京の富裕層への理解が浅いのです。そもそもデフレの名残で誰もがタワマンを購入できていた頃の方が不自然だったのかもしれません。眺望の良い都心の築浅タワマンを普通のサラリーマン家庭が購入できていた時代が異常だったのです。海外では、その国の一般的なサラリーマン家庭が国の一等地にタワマンを購入できることなどまずありません。
「利上げをすればすぐに不動産価格が下落する」と考えるのは素人的な見方
3つ目の理由は金融に関するマクロ環境です。不動産と金融は密接に結びついており、金融からの流入マネーが不動産価格にも大きな影響を与えています。
バブルというと多くの人が昭和末期から平成初期を想像しますが、あの時代の東京のマンション利回りは約2%、金利は約6%でした。つまり1億円の物件をローンで購入すると、年間の賃料収入は200万円に対し、毎年支払う金利は600万円という状況でした。それほど市場が加熱していたのです。
しかし現在は、利回りが3%~4%程度で、金利はわずか0.5%程度です。この状況を比較すると、仮に日銀が金利を1%まで引き上げたとしても、まだ余裕がある状況といえるでしょう。
「今はバブルだから、金利が上がれば終わりになる」という見方をする人もいますが、ここで考えたいのは日本のインフレ率です。2025年1月には日本のインフレ率が4%まで上昇しました。これに対して政策金利は現在0.5%ですから、実質的なインフレ率は3.5%程度となります。
つまり、金利を引き上げた今も、日本はインフレ状態なのです。インフレが続いているのに、金利引き上げによって不動産価格だけが下落するというのは論理的におかしいと言えます。もし仮に日本でインフレが停止する水準として金利を4%まで引き上げたら、日本経済全体が大きな打撃を受けることになるでしょう。そのとき悪化するのは不動産市場だけではなく、日本経済全体です。
インフレ率の動向を見ても、「利上げをすればすぐに不動産価格が下落する」と考えるのは素人的な見方です。もちろん、今後のインフレ率の推移は予測困難ですし、タワマンの価格上昇がずっと続くとも思いません。一方長期的には、日銀はインフレを目指しており、物価目標を2%に設定しています。つまり、日本はデフレに戻そうとしていないのです。長期的な視点で考えたとき、インフレが進行しているのにタワマンだけが暴落するというシナリオは、どういう理屈なのだろうかと疑問に思います。