トランプ関税「大統領の真の狙い」…「拒否すれば追加関税だが日本にデメリット少ない」米共和党に太いパイプを持つ専門家が解説

米国のドナルド・トランプ大統領は日本に24%の関税を課す方針を明らかにした。日本だけでなく様々の国対して関税を設けることになるのだが、これをうけ世界経済は大荒れしている。早くも景気後退を示唆する声もあがってきている。米共和党関係者に太いパイプを持つ、早稲田大学招聘研究員で国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「もしも拒否すれば、トランプ大統領による追加関税が実施される可能性は高い」としつつも、トランプ大統領が日本に要求している農産品の市場開放については「そもそも食糧安全保障は失敗しており、市場開放事態何も問題はない」と指摘する。渡瀬氏が詳しく解説していく。全3回の第1回ーー。
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もしも拒否すれば、トランプ大統領による追加関税が…
トランプ大統領が相互関税を公表し、日本に対して24%の関税を課す予定となっている。トランプ大統領の日本に対する要求の一部は農産品の市場開放だ。
実はトランプ大統領にとっては農産品の輸出は死活的問題の一つである。元々米国の農家は共和党の主要な支持基盤である。米国の農業は競争力があり、輸出産業としての力が非常に強い。そのため、共和党議員らは共和党大統領に対して新たな世界市場を常に開拓するように要求している。
また、米国との貿易戦争は米国の農産品を市場から締め出すことが有効な手段となる。そのため、米国に対して報復関税を講じようとした場合、米国の農家は外国からの攻撃対象となる。したがって、今回のトランプ相互関税の実施に際しても、農業地域を多く抱えた共和党議員からは懸念の声が上がる事態となっている。
2026年連邦議員中間選挙の上院改選選挙区は農業が主力産業となっている州が多い。そのため、トランプ大統領としては、相互関税の成果として米国の農家に対して新たなマーケットを獲得したことを報告しなくてはならない。したがって、何としても日本の農産品市場の開放を成し遂げる必要があるのだ。これはトランプ政権の至上命題の一つであり、トランプ大統領からの要求を石破政権が拒否することは困難である。もしも拒否すれば、トランプ大統領による追加関税が実施される可能性は高い。