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7人が教えてくれたこと、責務を全うしたこと……心からの期待いっぱいのBTSという巨大な鳥、新たなる羽ばたき

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目次

BTSの7人すべてが経験することになった、韓国の徴兵

 BTSの7人すべてが、戦士としての責務を全うした。

 韓国の徴兵

 最初に言っておくが「戦士」とはそれぞれの国にとっての戦士である。

 戦士に対する賞賛とは、その国の成り立ち、文化、民族、共有する何某かによって変わる。

国を守るということはその国の人々の命を守ること

 国を守るということはその国の人々の命を守ることである。異民族が攻めてきてそれこそ自分も、家族も、多くの知る人も知らない人もそれこそ、むごたらしい殺され方をされるのが当たり前の時代があったし、いまもある。陸続きである大陸の人々はとくにその恐怖がある。

 いや「あった」は的確でない。現にイスラエルはパレスチナ・ガザ地区のハマスに襲われ、その報復としてガザを攻撃している。ウクライナはロシアに侵略されている。

 そのロシアも「タタールの楔」と呼ばれるモンゴル侵攻とその虐殺の記憶が根底にある。イスラエルは構成するユダヤ人に対する差別と迫害は、それこそ紀元前から世界中でおこなわれてきた。自分の国を持てなかった民がやっと作った国がイスラエル。もちろん、元からそこに住んでいたパレスチナ人からすれば侵略者だ。

 現代の徴兵に過去の近代戦のような戦力としての意味合いは薄い。現代戦はハイテク戦争でありアノミーな要素が強い。それでも徴兵制を敷く国にとっては「国を守る」「民族の誇り」という姿勢を示すことが徴兵という制度になっている。

日本がどうこうとか、日本と比べてどうこうとかは意味がない。韓国という国とその民族はその「姿勢」を大事にしているということだ。それは尊重されなければならない。まず大前提だ。

BTSがそれこそ「姿勢」を以て教えてくれてきたことだ

 徴兵制を敷く国は60カ国以上ある。制度はさまざまだがアジアで言えば韓国の他にベトナムも徴兵がある。アメリカに国土を蹂躙された記憶のまだ新しいベトナムにとって国を守る、民族を守る、家族を守る、私を守るという意識はとても強い。守らなければどうなるかを知っている世代が大勢残っている。ある各国の価値観に関する調査では90%以上のベトナム人が「侵略されたら自ら戦う」と答えている。韓国は70%近くが「侵略されたら自ら戦う」であった。

 ちなみに日本は同調査で「侵略されたら自ら戦う」は10%台、戦わないが50%近くである。残り40%は「わからない」。それがいいとか悪いとかでなく、国それぞれに違うということ、それがまず大前提ということだ。

 ヨーロッパでも東西に蹂躙されてきたポーランドや植民地の圧政に苦しんだインドネシアなども70%から80%の国民が「侵略されたら自ら戦う」であった。調査そのもののエビデンスはともかく、私の肌感としては「そうだろう」しかない国々である。どの国も、その民族の歴史は他者によってもたらされた地獄ばかりであったと言ってもいい。

 この「違い」をまず念頭に置くことが他者に対する理解とその先の未来につながる。ARMY(アミ)には十分にわかることだろう。BTSがそれこそ「姿勢」を以て教えてくれてきたことだ。

国民のひとりとしてその国の責務を全うした

 だからこそBTSの7人は誇らしく兵役につき、国民のひとりとしてその国の責務を全うした。義務だからとか世論がどうこうでなく国民として。韓国人にはあたりまえの考えであり、それは韓国人であることに必要なことだから。

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この記事の著者
日野百草

1972年生まれ。日本ペンクラブ広報委員会委員。出版社勤務を経て国内外における社会問題、政治倫理を中心に執筆。大学院で芸術学を専攻、修士(芸術)、芸術修士(MFA)。文芸論、人物評伝および比較史におけるポップカルチャー、またフィギュアスケートなど舞踏芸術に関する論考も手掛ける。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。著書『評伝 赤城さかえ 楸邨・波郷・兜太に愛された魂の俳人』他。

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