崩壊!米国株の絶対的安心感…ビッグテック時代の終焉「ドル資産離れ」世界マネーが向かう先

米国株は長年にわたり、世界の投資家にとって最も信頼される投資先であり続けてきた。経済規模、企業の成長性、市場の流動性――あらゆる面で他を圧倒し、「買っておけば間違いない市場」として確固たる地位を築いてきた。しかし近年、その前提にわずかな揺らぎが生じている。表面的な数字に変調は見られないものの、資本の流れや投資家の姿勢に微細な変化が表れつつあるのだ。日経新聞の編集委員である小平龍四郎氏が、米国株を取り巻く現在の潮目を丁寧にたどりながら、「絶対視」の時代を経たその先に、何が見えてくるのかを考察する。
目次
揺らぎ始めた米国株への絶対的信頼
世界の資本市場で、目に見えぬ潮目の変化が進行している。かつて絶対的な存在と見なされてきた米国株式市場に対し、敬意と信頼に裏打ちされた「思い込み」のようなものが、少しずつほどけはじめている。その変化は劇的でも決定的でもない。だからこそ、かえって深く、後戻りしがたい。
バブルの崩壊も、リーマン・ショックのような急激な信用収縮も起きてはいない。それどころか、米国経済は相対的に堅調で、労働市場は依然として引き締まっている。株価水準も、決して悲観的とは言えない。しかし、価値の評価軸が、静かに、だが確実に揺れ動いている。
その変化の震源地は、地政学や経済成長率の数字ではなく、もっと根源的な問いにある――「この市場を信じて、長期の時間軸で付き合い続けられるのか」という、ごく個人的かつ制度的な問いだ。世界の資産運用者たちは、今その答えを探している。