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“多様性の時代”がマウント地獄をもたらすという不都合な真実…「SAPIXママ」はなぜママ友同士でマウントしてしまうのか

(c) AdobeStock

 SNSや日常に溢れる、無意識の「マウント」。誰もが平等や多様性を口にする一方で、なぜ私たちは優劣を競う格付けゲームから逃れられないのか。『「マウント消費」の経済学』(小学館新書)などの著書もある著作家の勝木健太氏は、世の中に溢れるマウンティングの根源は、正解のない時代を生きる私たちの潜在的な「不安」にあると喝破する。

 現代社会の経済を動かしている「マウント消費」の正体から、息苦しいマウント社会を賢く心穏やかに生き抜くための超現実的な処方箋まで、同氏にわかりやすく語ってもらった。全3回の第1回。

 みんかぶプレミアム特集「格差社会サバイバル」第6回。

目次

その「いいね!」本当に共感? 無意識のマウントに心がざわつくワケ

 「これからは多様性の時代だよ」「学歴がすべてじゃない」「人はそれぞれ、自分らしい生き方を選べばいい」。

 私たちの周りには、こうした耳触りの良い言葉が溢れています。誰もがフラットで、平等で、互いを尊重し合う。そんな理想郷がすぐそこにあるかのような幻想を抱かせてくれます。

 しかし、実際のところはどうでしょうか。SNSを開けば、きらびやかな生活を見せつけるインフルエンサー。ビジネス記事を読めば「東大卒が語る」「元ゴールドマンサックスが教える」といった権威のオンパレード。友人との会話では、さりげなく差し込まれるパートナーの自慢や子どもの進学先の話題。

 私たちは、表向きは「平等」を謳いながら、その実、無数の隠れたカーストと序列の中で生きています。そして、その矛盾の中で、言葉にできない「モヤモヤ」を抱えているのではないでしょうか。

“マウント資本主義”の奴隷になる人たち…心をじわじわ蝕む「格付けゲーム」の本質

「あ、今マウントされたかも……」

 そう感じてわずかにイラッとする。でも、そんなことでモヤつく自分はなんて器が小さいのだろうと自己嫌悪に陥る。あるいは、自分でも無意識のうちに、誰かに対して優位に立とうとしてしまい、後から罪悪感に苛まれる。

 この息苦しさの正体は一体何なのでしょうか。

 本稿では、この現代社会に蔓延する「マウント」という現象を、その根源から徹底的に解剖していきます。なぜ人はマウントしたがるのか。なぜ湾岸のタワマンや高級パジャマといった「マウントできる商品」が飛ぶように売れるのか。そして最後に、このどうしようもない格差社会を、少しでも心穏やかに、そして賢く生き抜くための実践的な戦略を提示したいと思います。

なぜあの人は見下してくるのか? あなたには見せない“切実な不安”の正体

 まず、そもそも論から始めましょう。なぜ、人はマウントするのでしょうか。

 マウント(マウンティング)は、一般的には「相手より優位に立ちたい」「自分を誇示したい」という、シンプルで攻撃的な欲求だと思われがちです。しかし、私は多くの人々と対話し、この現象を観察し続けてきた結果、その根源はもっと根深く、そして切実な場所にあると確信しています。

 マウントの本質は、「自分の選択は間違っていなかった」と確認したいという、どうしようもない「不安」の裏返しなのです。

「多様性の時代」がマウント地獄を生み出す残酷なメカニズム

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この記事の著者
勝木健太

1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行に入行。4年間の勤務後、PwCコンサルティングおよび監査法人トーマツを経て、経営コンサルタントとして独立。約1年間にわたって国内大手消費財メーカー向けに新規事業・デジタルマーケティング関連プロジェクトに参画した後、2019年6月に株式会社And Technologiesを創業。2021年12月に株式会社みらいワークス(東証グロース:6563)に会社売却(M&A)し、執行役員・リード獲得DX事業部 部長に就任。2年間の任期満了後、退任。執筆協力実績として『未来市場 2019-2028』(日経BP社)『ブロックチェーン・レボリューション』(ダイヤモンド社)、企画・プロデュース実績として『人生が整うマウンティング大全』(技術評論社)がある。

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