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フライング早苗の二枚舌…高市氏が総理になれなさそうな理由「にじむ財務省への配慮」経済誌元編集長が指摘する「足りないもの」

(c) AdobeStock

 先の参議院選挙で大敗した自民党政権。昨年の衆議院選挙、今年の都議会議員選挙に続き3回目の負けに党内外から石破茂総裁に辞任を求める声が挙がる。石破総裁本人は継続する意向を表明しているが、ポスト石破に世間の注目はすでに集まっている。そんな中で自民党の次期総裁候補として名前が挙がる高市早苗氏だ。高市氏は参院選投開票日の2日前に「私なりに腹をくくった。もう1回、党の背骨を入れ直す。そのために戦う」と発言し物議を醸した。選挙結果が出る前に「自公で過半数獲得」が無理だと見越し、「ポスト石破」への意欲を露にした。しかしこの意思表示にはちょっと早すぎたということで“フライング早苗”などとで呼ぶ人も永田町では出てきたという。

 そんな高市氏だが、国民的な人気が伸び悩む背景には、政策の不透明さがある。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏によると、高市氏は消費税の軽減税率の一時的ゼロ化を訴える一方で、将来的な増税に言及するなど、減税と増税の間で揺れ動く姿勢が目立つ。これは、減税を求める世論と党内の増税派に配慮する「二枚舌」と映りかねず、政策の一貫性や誠実さへの疑念を生んでいるという。小倉氏が、高市氏の掲げる政策の矛盾点を指摘し、真に求められる指導者の条件を論じる。

目次

高市氏が減税したいのか増税したいのか

 高市早苗氏が次の首相候補として名前が挙がりながらも、国民的人気や世論の強い支持を得るに至っていない理由は複合的である。保守層の一部からは支持を受けているが、より広範な有権者層の共感を獲得するには至っていない。主な要因は、政策の一貫性、財政姿勢への疑念、中国対応の曖昧さにある。

 まず、減税政策を掲げる姿勢には一定の評価がある。消費税の逆進性はかねてから問題視されており、実際に過去の消費税増税局面では家計消費が落ち込み、経済全体が低迷した。所得が低い層にとっては、生活必需品にも課税されるこの仕組みが重い負担となり、結果として可処分所得の減少を招いた。こうした現実を踏まえれば、高市氏の「軽減税率部分だけを時限的にゼロにする」という提案には一定の合理性があるように見える。

 ただし、不可解なのは、その後に標準税率を10%から12%へ引き上げると明言している点にある。

「軽減税率部分だけを時限的にゼロにし、経済が相当強くなってきた段階で標準税率分を10%から12%にしたとしても、国民の皆様に説明をすればご理解いただけるのではないか」(デイリー新潮、5月16日)

結局の自民党内や財務省への配慮でブレる高市

 減税の必要性を訴えながら、将来的に増税することを前提としているような矛盾が露呈している。消費税が経済に与える負担を理解しているのであれば、軽減税率廃止後に標準税率を引き上げるという説明には整合性がない。減税によって経済が活性化し、税収が自然と増加するという立場をとるのであれば、将来の増税を前提とした発言は必要ない。

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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