「数千万円の損!」個別指導塾代表が警鐘を鳴らす「とりあえず医学部」の危険性

年収も地位も約束されている、資格仕事だから失業の恐れもない、そして何より人に感謝をされる仕事ーー。それが医者だ。
多くの親が子供を医師にしようと早期教育に力を入れ、医学部に強い学校・特化した予備校は人気を博している。しかし、内実を知る専門家から見ると「医学部に入ったから安泰」というイメージは実態とかなり異なるようだ。
個別指導塾CASTDICEの代表、小林尚氏は次のように語る。
「わが子を医学部に入学させれば、将来安泰という思い込みをしている親御さんは非常に多い。でも実際には、入学後にさまざまなハードルが待ち受けています」
大学受験の専門家で医学部専門のCASTDICE Medicalも運営する同氏に、医学部受験を考える全受験生に知っておいてほしい最新事情を伺った。連載全3回の第1回。
目次
知られざる留年率、中退率
多くの方がご存知の通り、医学部入試の人気は高止まりしています。国公立大学であれば大学入学共通テストで5教科7科目の対策と二次試験対策が、私立大学でも英語・数学・理科2科目でハイレベルな試験対策が必須となります。
日本全体の医学部の定員は9400人程度の狭き門で、合格者は間違いなく学力トップ層と言えるでしょう。
「狭き門なんだから、合格したらあとは自動的に医者になれるんじゃないの?」
そう考える親御さんや受験生が多いのも無理からぬことでしょう。
確かに厚生労働省のデータなどを見ると、各医学部の医師国家試験合格率は軒並み90%を超えており、最も低い久留米大学でも82.9%です。
しかし実際には、医師国家試験を受ける前の段階で、せっかく入った医学部を留年・中退する学生が一定数存在するのです。
医学部の中退率や留年率は公式データはなく、各メディアが独自調査を行っています。それによる中退率は2〜3%、留年率は大学によってバラツキがあるものの一部私立大学では20%を超えています。
医学部には基本的に志が高く、優秀な学生が集まっています。にも関わらず、留年・中退をする学生が一定数存在するのです。