医師になりたい受験生に塾代表が問う「勉強以外に必要なスキルはありますか?」

年収も地位も約束されている、資格仕事だから失業の恐れもない、そして何より人に感謝をされる仕事ーー。それが医者だ
多くの親が子供を医師にしようと早期教育に力を入れ、医学部に強い学校・特化した予備校は人気を博している。しかし、内実を知る専門家から見ると「医学部に入ったから安泰」というイメージは実態とかなり異なるようだ。
個別指導塾CASTDICEの代表、小林尚氏は次のように語る。
「わが子を医学部に入学させれば、将来安泰という思い込みをしている親御さんは非常に多い。でも実際には、入学後にさまざまなハードルが待ち受けています」
大学受験の専門家で医学部専門のCASTDICE Medicalも運営する同氏に、医学部受験を考える全受験生に知っておいてほしい最新事情を伺った。連載全3回の第3回。
目次
始まりつつある「安定神話」の崩壊
これまで「医師=高収入で安定」というイメージがありましたが、この前提自体が揺らぎ始めています。
2025年時点でも、すでに東京では医師が余り始めていると言われています。一方で地方は全然足りていません。
この問題を解決するため、地域枠みたいな制度の割合がまた増えていくと思いますし、地域枠じゃなくても、例えば研修医時代に半年間は地方に行くみたいなルールが少しずつ始まりつつあるんです。
また、医療制度の根幹でもある診療報酬制度の改定なども、検討されつつあるのです。以前のような「開業すれば自動的に高収入」という時代は過去のものになるかもしれません。高齢化が進み、75歳以上の人口が減少に転じてしまうと、これまで通りの医療需要は見込めなくなる可能性もあります。
もちろん医師という責任ある仕事ですから、普通の職業よりも収入がなくなるということは考えにくいでしょう。しかし、「医師になったから安定」「高い確率で高給取りになれる」などと、安易な理由で医学部進学を選ぶと、思わぬ進路ミスに繋がりかねません。