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なぜ海外主要経済メディアは参政党を「無視」するのか モーリー・ロバートソン氏が指摘する不都合な真実…欧米の主要メディアが日本への興味を完全に失ったワケ

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 2025年夏の参院選で躍進し、国内メディアの注目を独占した参政党。しかし、その熱狂とは裏腹に、海外メディアの反応は驚くほど冷淡であったという。なぜ、これほどの温度差が生まれるのか。国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏は、その背景に日本の地政学的な存在感の低下と、米国を揺るがす巨大な国内問題があると指摘する。

 海外メディアが参政党のイデオロギーを「スルー」する一方で、その経済政策がもたらす「財政リスク」に鋭い監視の目を向けている実態を、同氏に解き明かしてもらったーー。みんかぶプレミアム特集「参政党が勝ち、リベラルが負けた理由」第1回。

目次

なぜ海外主要経済メディアは参政党を「無視」するのか

 2025年7月に行われた参議院議員選挙。日本国内では、特に参政党の躍進が大きな注目を集め、メディアは連日その動向を報じました。自民・公明の連立与党が衆議院に続き過半数を割り込むという歴史的な結果も相まって、「日本の政治が大きく変わるのではないか」「ついに日本にも本格的なポピュリズムの波が到来したのか」といった議論が盛んに交わされています。国内の報道がこれほど過熱する中、海外のメディアは、この日本の地殻変動をどのように報じたのでしょうか。

 私は長年、海外メディアの報道を定点観測してきましたが、今回の参院選に関する報道を見て、まず指摘しなければならないのは、日本国内の狂騒とは裏腹の、海外からの驚くほどの「冷めた視線」、あるいは「無関心」です。今日は、日本と海外でなぜこのような報道の温度差が生まれているのかを解き明かしながら、海外メディアが日本のどこに注目し、何をリスクと捉えているのか、その深層を分析していきたいと思います。

欧米の主要メディアが日本への興味を完全に失ったワケ

 結論から先に述べましょう。今回の参院選、とりわけ参政党の躍進は、海外の主要メディアにとって優先順位の低い、マイナーなニュースとして扱われたのが実情です。この背景には、まず大前提として、現在の日本が地政学的な文脈において、世界に影響を与えるほどの「有意義な存在感」を発揮できていないという現実があります。これは残念ながら、この30年ほどずっと続いている傾向であり、日本は世界のニュースアジェンダを動かすプレイヤーとは見なされていないのです。

 そのため、海外メディア、特にアメリカのメディアの視点から見れば、日本の選挙は非常に大雑把にしか捉えられていません。参政党がいくつかの議席を獲得したといっても、彼らが政権を握り、日本の政策を支配するような存在になったわけではない。したがって、ニュースバリューとしては必然的に低くなります。

日本の選挙より「エプスタイン事件」が100倍重要な理由とは

 加えて、選挙が行われた同時期、アメリカのメディアのトップニュースは、ロシア、中国、そして何よりもドナルド・トランプ大統領をめぐる激しい動きで埋め尽くされていました。さらに、アメリカ国内の関心を現在独占し続けている巨大な問題があります。それが「エプスタイン事件」です。

 日本の皆さんには、ネットの一部で騒がれているゴシップ程度にしか感じられないかもしれませんが、この事件は現在のアメリカ政局を根底から揺さぶる巨大な震源地となっています。ここを理解しない限り、アメリカがなぜ日本の選挙に見向きもしないのか、その理由は見えてこないでしょう。

トランプ政権が必死に隠蔽する「エプスタインの闇」

 エプスタイン事件の核心は、単なる富豪による性犯罪スキャンダルではありません。それは、アメリカの政治エリートたちを巻き込み、今やトランプ氏自身の政治生命をも脅かす、極めてセンシティブな政局の爆弾となっているのです。

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この記事の著者
モーリー・ロバートソン

国際ジャーナリスト、ミュージシャン、コメンテーター、DJといった多岐な分野で活躍。日米双方の教育を受け、1981年に東京大学とハーバード大学に同時合格する。日本語で受験したアメリカ人としてはおそらく初めての合格者。東大、ハーバード大学に加え、MIT、スタンフォード大学、UCバークレー、プリンストン大学、エール大学にも同時合格。東京大学を1学期で退学し、ハーバード大学に入学。電子音楽とアニメーションを専攻。アナログ・シンセサイザーの世界的な権威に師事。1988年にハーバード大学を卒業。2001年「情熱大陸」でフィーチャー。2005年ポッドキャストのパイオニアとなり、ネットでラジオ番組「i-morley」を配信。ニフティ社から「Podcasting Award」を受賞。現在各種メディアでも活躍中。

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