決算総括!中小型株市場の強弱と、投資家が見るべきポイントをfundnote川合氏が解説

本稿で紹介している個別銘柄:セイコーエプソン(6724)、三菱重工(7011)
決算シーズンが一巡し、国内株式市場では再び投資家の関心が「決算の勝ち組・負け組」に集まっている。
今回は、国内IPO・中小型株のスペシャリストであり、fundnote株式会社でクロスオーバーファンドのファンドマネージャーを務める川合直也氏に、2025年夏の決算総括や注目セクター、さらに話題となっている「未上場株投資制度改正」のリスクについて詳しく伺った。
目次
大型株は“イージーモード”、好決算がそのまま株価に直結
川合氏は、2025年夏の決算シーズンにおける大型株の特徴を「非常に分かりやすい相場だった」と振り返る。
「決算が良い企業については、売り手がほとんどおらず、株価が一気に跳ね上がる場面が目立ちました。ときには10%近く上昇する銘柄もあり、普段の大型株では考えられないボラティリティでした。判定基準も甘く、『良い決算はとにかく買われる』という環境が続きました」
背景には、全体相場の上昇基調がある。マーケット全体がリスクを取る方向に傾く中で、良い決算が出れば資金が集まりやすかったのだ。
「特にサンリオのように、もともとモメンタムがついていた銘柄は、決算発表をきっかけにさらに上昇しました。通常であれば上昇余地が限定されるところでも、今回は予想を超える動きが見られました」
大型株は「決算を正しく見極めるだけで勝ちやすい」という分かりやすい局面だった。投資家にとっては、リスクを抑えつつリターンを狙える好機だったと言える。
IPO・中小型株は“明暗くっきり”「わずか1割が好決算」
一方で、IPOや中小型株の決算はまるで別世界のようだった。
川合氏は「成長率を維持できた銘柄は全体のわずか1割ほど。残りの9割は成長鈍化に直面し、中には減収に転じた企業もありました」と指摘する。
新興市場では企業間の差が顕著で、強いビジネスモデルを維持する企業は引き続き成長を見せたが、体力の乏しい企業は急速に失速した。その結果、「決算発表を境に株価が大きく二極化する」という展開が広がった。
さらに、今回の決算では実体経済の影響が色濃く反映されたという。
「企業が投資を控えると、最初に影響を受けるのは中小企業との取引です。大企業との契約は維持される傾向がありますが、中小企業やスタートアップは真っ先に受注が削られます。今回の決算では、まさにそうした実体経済の影響がダイレクトに表れていました」
こうした背景もあり、中小型株の決算は「全体的に業績が悪かった」と総括できる。投資家は、市場トレンドだけでなく、マクロ経済や企業間取引の構造も理解する必要がある。
個人投資家にとっての“深掘りの難しさ”
IPOや中小型株への投資で、個人投資家が直面する大きな課題は「リサーチの難しさ」だ。