16タイプ診断で「適職」を判断する際のよくある誤解と“職場のミスマッチ”の正体

「この職場は働きづらい」「この仕事を続けて本当にいいのだろうか」などと悩むビジネスパーソンは少なくない。自分の本当の適職を見つけることは、多くの人の悲願だ。
そこで参考にしたいのが、現在大流行中の16タイプ診断である。「ISFJ」や「ENTP」などをはじめ、16個の性格タイプがあるとされている。
16タイプ診断のプロフェッショナルである、けい(大地啓太)氏が、日本の採用市場と16タイプのミスマッチについて解説するーー。
みんかぶプレミアム連載「16タイプで読み解く“職場のミスマッチ”の正体」
目次
「働きづらさ」は個人の問題なのか?
今、キャリアに悩む人が増えています。特に、社会人3年目以降に「この仕事、自分に合ってない気がする」「転職を考えているけれど、次も同じように合わなかったら怖い」といった声が目立つようになってきました。
転職市場の活性化や働き方改革、副業解禁などで“職業選択の自由”は広がったはずなのに、なぜ今もなお多くの人が「働きづらさ」に悩んでいるのでしょうか。
その一因として考えられるのが、「自分に合う仕事」の定義が曖昧なまま就職・転職活動が行われている、という現状です。
「給与水準」「安定性」「会社のブランド力」といった外的な要因だけでなく、性格的な相性という観点から自分と職場のミスマッチを見直すことが、今後ますます重要になっていくでしょう。
経済合理性で語れない“適職”の世界
たとえば、経済合理性だけでキャリアを選ぶなら、年収や安定性、将来性などの“数字で測れるもの”が軸になります。実際に、就職活動では多くの学生が「大企業志向」「安定志向」で動いており、そこに違和感を持つ余地はあまり与えられていません。
しかし、働き始めてから「なんだか合わない」「やりがいを感じられない」という不満が生まれる背景には、その仕事や職場が、その人の性格と根本的に噛み合っていないというケースが少なくありません。
いくら待遇が良くても、チームでのプライベートな会話が多すぎて疲れてしまう内向型(Ixxx)の人もいれば、細かすぎるマニュアルに息苦しさを感じる探索型(xxxP)の人もいます。逆に、自由すぎる裁量やルールのなさに困惑する計画型(xxxJ)の人も存在します。
こうした“働きづらさ”は、決してその人が「努力不足」なわけでも「甘えている」わけでもありません。性格特性とのミスマッチが原因であることが多いのです。
日本の採用市場と16タイプのズレ
日本の採用市場は、依然として「協調性がある」「積極性がある」「マルチタスクに強い」など、ごく一部の性格特性に偏った人物像を理想とする傾向があります。どの企業でも求められる「明るくて、元気で、コミュニケーション能力が高い人」という条件に、多くの人が無理をして合わせにいってしまいます。
しかし、人間の性格は16タイプで分類してもそれぞれまったく異なる特性を持っています。たとえば、深く考えてから行動したいINFJにとっては、「即断即決」を求められる場面の多い職種は苦痛を感じやすくなります。ISTPは「みんなで協力して進めよう」という集団の空気に疲れやすい傾向がありますし、ENTJは、年功序列で成果が評価されにくい環境では、強い物足りなさを感じるかもしれません。
このように、“画一的な人材像”を前提にした採用市場と、“性格の多様性”という現実のギャップが、キャリア迷子を生み出しているのです。