「私だけは他人の意見に流されない」と考える人ほど実は影響を受けやすい……学歴や収入が高い人ほど要注意?!

社会にはさまざまな情報が溢れており、中には陰謀論のように根拠が乏しい情報も少なくない。“怪しい”情報に触れたとき、おそらく多くの人は「自分は引っかからない」と思うことだろう。しかしサイエンスライターの鈴木祐氏は、そのように考える人ほど「実際には他人からの影響を受けやすい」と話す。人はどのように情報の影響を受け、中でも影響を受けやすいのはどういった人なのか。鈴木氏が解説する。全3回中の第1回。
※本稿は鈴木祐著「社会は、静かにあなたを「呪う」: 思考と感情を侵食する“見えない力”の正体」(小学館クリエイティブ)から抜粋、再構成したものです。
第2回:「日本は生産性が低い」と批判する人が見えていない、“生産性”の本質とは
第3回:日本人の格差は開いていない!“格差の実態”が見えていない本当の理由
目次
誰しも他者からの影響を受ける
知らぬ間に多くの人が常識のように主張し、よくも悪くも私たちの考え方に影響をおよぼす──そんなメッセージを、ここでは“呪い”と呼ぶ。
たとえば、こんなフレーズを見聞きしたことはないだろうか?
「日本は終わっている」
「ただ好きなことをやればいい」
「成長や競争から逃げよう」
このような主張を、そのまま信じる人はまずいないはずだ。いずれの言葉も威勢だけはいいものの、実際には個人の感想でしかないことが多いし、定義すらさだかでないケースが大半を占める。ある程度の真実は含むとしても、「鵜吞みにできない」と思う人がほとんどだろう。
しかし、私たちは他者からの影響に弱い。信頼する仲間やインフルエンサーから日々同じメッセージを受け取っていれば、知らずのうちに影響を受けてしまうのが人間だ。