なぜ沖縄の若者は成人式で騒ぐのか?沖縄の成人式が“荒れる”本当の理由を元当事者が赤裸々告白

沖縄といえば、青い海と空が広がる南国リゾート。しかし、その華やかなイメージの裏側には、本土とは異なる独自の生態系を持つアンダーグラウンドな世界が広がっているという。かつて暴走族に身を置き、少年院も経験した作家の神里純平氏が、その実態を赤裸々に語る。短期連載全3回の第2回。(取材日:7月4日)
目次
華やかな暴走行為の裏に潜む“消えないトラウマ”
――当時の少年たちにとって、暴走族として走ることの魅力や楽しさとは、具体的に何だったのでしょうか。
まず、10代の我々にとって、公道を我が物顔で走ること自体が「大人の特権」のように感じられていました。あとは、尾崎豊の『15の夜』のような世界観への憧れですね。歌詞の世界のように、夜の闇に自由を求めて道路に出てみたい、という衝動がありました。
そして何より、バイクの爆音をまき散らせば、周囲が嫌でもこちらに注目してくれる。その承認欲求が満たされる感覚は、当時の我々にとって大きな魅力でした。
――今でも、ふと当時の高揚感を思い出したりすることはありますか?
ありますね。たまにバイクにまたがると、当時の記憶が鮮明に蘇ってきます。ただ、楽しい記憶だけではありません。信号無視をして車に突っ込まれそうになり、ギリギリで避けたことなど、本当に死にそうになった危険な経験も思い出します。今になってバイクに乗ると、そういった記憶から少し心臓がドキドキすることがあるんです。
沖縄中の不良が熱狂した「謎の集会」の実態
――沖縄にはどのくらいの数の暴走族が存在するのでしょうか。また沖縄の暴走族には、何か特有の文化やイベントのようなものはありましたか?
私たちの時代には、20から30くらいのチームがあったと記憶しています。一つのチームはだいたい15人前後と小規模ですが、連合を組んで集まることもありました。そして、沖縄特有の文化として、毎年8月29日は「パニック」と呼ばれる特別な日になっていました。