中学受験で“キャリアの選択肢”が爆発的に増える本当の理由 なぜ賢い親は子どもの「環境」に惜しみなくお金を払うのか

首都圏を中心に過熱する中学受験。多くの親が「周りもやっているから」という漠然とした思いでその渦に飛び込んでいないだろうか。長年、数々の生徒を難関校合格へ導いてきた中学受験を考える塾長氏は、こうした「なんとなく中学受験」に警鐘を鳴らす。
最近出版された著書『中学受験は戦略が10割: 東大生の親が絶対やらないこと (みんかぶマガジン新書)』の売れ行きも絶好調な同氏に、中学受験に向く子の素質や家庭の経済的条件といった現実的な側面から、中学受験とその後のキャリアの意外な関係性、AI時代のビジネスに直結する子どもの思考力の鍛え方まで、幅広く語っていただいた。全3回の第2回。みんかぶプレミアム特集「キャリアから考える中学受験」第5回。
目次
中学受験でキャリアの選択肢が爆発的に増えるワケ
私立中学には、実に様々なバックグラウンドを持つご家庭のお子さんが集まります。親が一代で会社を築き上げた経営者、代々続く医師の家系、誰でも知っているような会社の社長、政治家、著名な法律家など、公立中学校の画一的なコミュニティではなかなか出会えないような人々との接点が生まれます。
今の若い世代、特に都心部の公立中学校に通う子たちは、非常に真面目で模範的な子が多いという印象です。それは素晴らしいことですが、一方で「良い大学に入って、安定した大企業に就職する」という、いわゆる“王道”のキャリアパス以外を想像しにくい、型にはまりやすい傾向も見られます。
なぜ賢い親は子どもの「環境」にお金を払うのか
しかし、私立中学という環境に身を置くと、その固定観念は良い意味で壊されます。友人のお父さんが起業家で自由に生きている姿を見たり、アーティストとして活躍する親を持つ同級生と話したりする中で、「生き方には色々な選択肢があるんだ」ということを肌で感じるのです。
医師や弁護士といった専門職もいれば、自分でビジネスを興して成功している人もいる。そうした多様なロールモデルに日常的に触れることで、子どもたちの視野は大きく広がります。将来の夢を描くキャンバスが、より大きく、よりカラフルになる。これこそが、「環境を買う」ことの真髄なのです。