飲み会がビジネスにつながる!「1つ1万円のお菓子」でもコミュニティビジネスなら売れてしまうかもしれない理由

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 コミュニティを率い、これまでにたくさんのプロジェクトを成功に導いてきた、実業家・投資家・映画プロデューサーの嶋村吉洋氏。しかし、なぜ人は嶋村氏のコミュニティに参加するのだろうか。嶋村氏の考えるコミュニティのあり方と、そのコミュニティがどうやってビジネスにつながっていくのかについて、同氏が語る。全3回中の2回目。

※本稿は嶋村吉洋著『人生100年時代を生き抜くための億万長者のコミュニティ資本論』(プレジデント社)から抜粋、再構成したものです。

第1回:あなたの人生を劇的に変える「コミュニティ」……常識を捨て、起業よりも先にコミュニティをつくれ

第3回:「集まって楽しい」の一歩先へ……コミュニティが売上を生み出していくための3つのステップ

目次

コミュニティは「楽して儲かる」場ではない

 私の関わっているコミュニティは、すでにそれなりの規模になっているので、いろいろな人が集まってきます。中には「ここに入れば、儲かるかもしれない」と期待して、紹介されるままにイベントに参加する人もいるようです。

 ただ、実際に会って話をしてみると、「楽に儲かると思っていたのに、3年は地道に働かないといけないと言われた」と言って去っていく人もいます。私自身は、どこで話しても割と現実的なことしか言わないのですが、「そんな話は聞いていなかった」と感じる人もいるようです。

 でも、現実のビジネスを考えてみると、独立して起業した会社の多くは1年以内に姿を消します。10年後に残っている会社は、わずか6%程度だと言われています。それだけ、一つのビジネスが形になるのは難しく、時間がかかるものです。

 世の中には「簡単に儲かる」ということを謳って、人を集めるコミュニティもあるようです。そうしたコミュニティが本当に存在するのか、あるいは詐欺的なのかはわかりませんが、私たちは地道に現場で汗をかき、みんなで協力しながらビジネスを立ち上げています。

「楽して儲かる」「すぐに儲かる」という話が好きな人は、他のコミュニティに行っていただくのがいいと思います。

チャレンジャーが自然と集まってくる環境

 では、実際に私たちのコミュニティの中では、どのようにビジネスが始まるのか。 

 よくある例として、飲食店を考えてみます。「自分のお店を出したい」という人は、勉強会などで「こんな店をつくりたい」とか「こんな料理を出したい」といった話をします。

 その段階で「出店したら必ず食べに行きます!」という、いわば“お店のファン”をつくるのです。実際にお店ができると、みんなが訪れるので、開店直後から、かなり盛り上がります。

 こういう理由から、コミュニティがあることで「失敗しにくい」ということが、ある程度は言えるかもしれません。

 ただ、コミュニティ内のお客様だけで回していっては、成功の規模は限られます。 そこで、私たちのコミュニティでは、コミュニティメンバーの友人や、一般のお客様が集まるように、コミュニティがいろいろな形で協力しています。

 実際、私たちのコミュニティには、各分野の専門家が増えてきました。たとえば、メニュー開発やロゴデザインの製作、ホームページの作成やPRの方法、SNS運用まで、さまざまな面でアシストできるメンバーが揃っています。

 出店の際には、不動産コンサルタントや税理士、行政書士なども協力してくれます。もちろん、仕事として関わる以上、報酬やコンサル料が発生します。それでも、普通にお店を立ち上げるよりも安く、早く、しかも専門家のアドバイスを受けながら進められるのは大きなメリットだと思います。

 そして、有名になった仲間のお店が増えてきました。協力するのは専門家だけではありません。仕入れを共同で行ったり、場合によってはコミュニティ発の店舗に従業員として参加したりすることもあります。

 コミュニティ内の積極的な協力も伴って、口コミが広がりやすいのです。開店日にはコミュニティメンバーが集まり、初日から行列ができることも珍しくありません。地道に活動することで、私たちもノウハウが蓄積されてきました。

 おかげで私たちのコミュニティには「起業や店舗経営で成功する人が多い」という認識が共有されているようです。そのため、「自分もそうなりたい」と考える人が自然と集まってきています。

コミュニティがあれば「1個1万円のお菓子」もビジネスになりうる

 コミュニティの勉強会や飲み会でも、「こんなものがあったらいいよね」という話から、「それなら私がビジネスモデルを考えます」とか、「その分野なら営業に強い知り合いがいます」といった流れに発展しやすい気がします。

 このような流れは、コミュニティが成長してきた結果の強みだと思います。たとえば、1つ1万円もするようなお菓子のアイデアが出たとします。普通なら、それを事業化するのは難しいと感じる人が多いかもしれません。

 しかし、コミュニティ内に「今、海外の富裕層向けビジネスをしているので、ブランディングしてみませんか?円安の今なら需要があるかもしれません」と提案してくれる人がいれば、状況は大きく変わります。AIを使った、今までにない新しいサービスのアイデアが出ることもあります。

「面白いけれど本当にできるのか?」と疑問を持つ人もいるでしょう。それでも、「できると思います。私がやります」と言う人が、たいてい現れます。実際、私たちのコミュニティには多方面で活躍しているマーケターや、将来有望なエンジニアが何人もいます。

 ですから、アイデアさえあれば、それが実現する可能性はかなり高いのではないかと感じています。

 さらに私たちは、コミュニティの勉強会や飲み会で生まれたアイデアを、より広く共有することに力を入れています。具体的には、「面白い!」と思ったら、すぐ、その場で「LINEオープンチャット」に流すのです。

 また、「あの人が面白いアイデアを持っている」と聞いたら、必ず「話を聞かせて」と連絡をとるようにしています。最近は、自分からプレゼンしてくれる人も増えてきました。

 いずれにしても、「これは面白い」と思ったアイデアは、「LINEオープンチャット」に流して、みんなに見てもらうようにしています。そこにはビジネスや投資、法務の専門家も参加しています。

 こうした仕組みがあることで、ビジネスが成立する可能性はかなり高くなります。このような仕組みをうまく機能させれば、これからの時代のビジネスでは、一般会社よりもコミュニティのほうが、スピード面で断然有利になる可能性があると考えています

ビジネスは適材適所が重要

 古代ギリシャの哲学者アリストテレスが「笛は誰に渡すべきか」と問いかけた話があります。その答えは、「一番上手に笛を吹ける人に渡すべきだ」というものです。つまり、その役割に一番向いている人がやるのが合理的だ、という考え方です。

 これはコミュニティづくりにも当てはまります。たとえば、コミュニティの誰かが新しい事業を提案したとします。 その人がアイデアを出すのは得意でも、人をまとめるのが苦手だと、ビジネスとしてはうまくいかない可能性が高くなります。

 そういうとき、私はマネジメントが得意な別の人にリーダーを任せることが多いです。「君にこの役割は向いていないから、彼に任せてみたらどうか」とか、「一人でやらずにパートナーをつけて、君は得意なことに集中してみては」といった提案をするのです。

 提案者をビジネスオーナーにして、実際の運営は別の人に任せる形にすることもあります。これはコミュニティ歴や年齢とは関係ありません。

 もし笛を下手な人に渡してしまうと、結局みんなががっかりする結果になります。コミュニティ全体の価値を高めるためには、やはり適材適所が大切です。だから、「Aさんはこれが得意」「Bさんはこういうことが苦手」といったことを、みんなが理解していることが重要です。

 このように、コミュニティにはそれぞれの強みを生かし合う仕組みがある。しかし、その仕組みをどうやって「持続的な売上」につなげていけばいいのだろうか。次回は、コミュニティが収益を生み出すためのステップについて、具体的にお伝えする。

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この記事の著者
嶋村吉洋

10代で起業し、実業や不動産、映画ビジネスなど、ビジネス領域は多岐にわたる。 現在は投資家として、サイバーエージェント、朝日放送など数社の大株主であり、テレビ東京、オリコンの個人筆頭株主でもある。 保有している株式の評価額は数百億円に達する。 エグゼクティブプロデューサーを担当した映画3作品が国際映画祭で受賞。 最新作は、Netflixで6カ国の1位・2位、アメリカの配信で初登場1位にランクイン。

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