SNSの“タワマン暴落論”が「的外れ」だと断言できるこれだけの理由 価格暴落より怖いタワマン購入の“本当のリスク”を元フジテレビアナが暴露

タワーマンションを6戸売買した経験を持つ異色の「タワマン愛好家」として知られる、元フジテレビアナウンサーの西岡孝洋氏。同氏にとって、タワマン購入は投機的な「投資」ではなく、純粋な好奇心から来る「趣味」に近い感覚だったそうだが、豊かな生活を求めて住み替えを繰り返すうち、結果として大きな資産を築くに至ったという。
驚異的な「マンションの目利き力」でも知られる同氏が今回、タワマン投資の真髄を告白。巷で囁かれる「タワマン暴落論」を恐れる必要がないのはなぜか。金融資産としてのタワマンが持つ圧倒的な優位性とは何か。そして「10年後の出口」から逆算する物件選びの極意や、住み替えながら資産を育てる戦略の全貌とは。そのすべてを余すところなく語っていただいた。全5回の第2回。みんかぶプレミアム特集「マンション 穴場エリアリスト」第7回。
目次
無理なローンなしで「タワマン資産」を築けたワケ
これまでタワマン以外も含めて7戸のマンションを売買してきましたが、もちろん、無計画に買っていたわけではありません。住宅ローンの借り方ひとつとっても、私は非常に慎重です。無理なレバレッジはかけず、常に自分の支払い能力の範囲内で計画を立てています。だからこそ、私のやり方は、いわゆる「投資家」のそれとは一線を画す、かなり弱めの「投資目線」だと言えるでしょう。
しかし、そんな私でも結果的に資産を増やすことができた。ここに、実需としてタワーマンションを購入することの大きな魅力が隠されているのだと思います。
もはや“異常事態”に突入した都内マンション市況の現実
さて、現在のマンション市況について、この20数年間市場を見続けてきた私の率直な感想を述べましょう。それは、「めちゃくちゃ高い。信じられないくらい高い」です。
かつて、都内のマンション市場には「坪400万円の壁」というものが存在していました。港区などの超一等地は別として、多くのエリアでは坪単価が400万円を超えるには、駅直結であるとか、特別なランドマーク性があるとか、よほどの理由が必要でした。それが今や、その壁はあってないようなもの。あっという間に突き抜けてしまいました。まるで、日経平均株価が長らく超えられなかった「2万円の壁」を軽々と突破したかのような現象が、不動産市場で起きているのです。
巷の「タワマン暴落論」はなぜ的外れなのか
では、この高騰は単なる投機的な「バブル」なのでしょうか? 巷では「タワマンバブルはいずれ崩壊する」といった「暴落論」も囁かれています。
私の見解は、こうです。現在の価格高騰の8割程度は、しっかりとした理由に基づいています。まず、都心部ではマンションを建てるための「用地取得」が極めて困難になっています。次に、建築資材や人件費の「資材高騰」が続いており、建築コストそのものが上昇しています。さらに、大手デベロッパーが利益率を重視し、供給戸数を絞っているという側面もあります。これらの要因を考えれば、価格が上がるのは必然とも言えるのです。
ですから、これを90年代のような根拠なき熱狂による「バブル」と断じるのは、少し違うと考えています。ただし、残りの2割については、正直なところ私も「なぜここまで?」と感じる、市場の熱気や期待感といった、説明のつきにくい要因が含まれていることも事実です。皆さんの「投機をしよう」という心がまったく乗っかっていないかと言われれば、そんなことはないでしょう。
タワマン価格が仮に3割下がっても「恐れる必要はない」
では、仮に「暴落」が起きたらどうなるのでしょうか。まず「暴落」の定義を考えてみましょう。バブル崩壊の指標として、当時の不動産価格が半値になった、あるいは30%(7割引)にまで落ち込んだという話がよく引き合いに出されます。
もし今、湾岸エリアのタワマン価格が3割下がったとしましょう。そのとき、まず起こる現象は何でしょうか。それは、他のエリアのマンション価格も、おそらく同じように3割程度下がっているということです。
そうなると、どうなるかというと、私のような人間は、「じゃあ、買い替えればいいじゃないか」と、ごくシンプルに考えます。自分のマンションの価値が1億円から7,000万円に下がったとしても、次に買おうとしていた1億2,000万円のマンションは8,400万円に下がっている。売却損は出ますが、次の物件を安く買えるチャンスでもあるのです。