「2倍になったら半分売る」投資歴30年の著名投資家が教えるインフレ時代の稼ぎ方

株式投資歴30年を誇り、理論株価を用いた分析で多くの個人投資家に影響を与えてきた、はっしゃん@株Biz(@trader_hashang)さん。
日本株は「ようやく理論値に近づいた」と見るはっしゃんさんが、すべての銘柄が恩恵を受けるインフレのメカニズムを解説。さらに、グロース株投資家の「自分の持ち株が上がらない」という悩みに答えつつ、具体的な利確・買い増しルールを公開します。インタビュー全2回の第1回。
目次
AIは「ハイテク三大革命」のインパクト
ーー8月から10月にかけて日経平均株価が最高値を更新していきました。この動きについては、やや行き過ぎと感じていますか?それとも妥当と見ていますか?
私は理論株価を重視して考えるタイプですが、日経平均株価の理論株価はおよそ4万9000円ほどなんです。現在の5万円水準というのは、先行期待がやや織り込まれている状態だと判断しています。ただ、その「先行期待」は高市早苗首相個人に対するものだけではなく、半導体やAI関連の銘柄への期待感も大きいでしょう。
株価上昇はいわゆる「高市銘柄」も含まれていますが、全体としては健全な範囲の先行期待だと見ています。バブルというほどではなく、理論株価より2〜3%ほど高い水準。これまで長らく理論値を下回っていたことを考えると、この半年ほどでようやく理論値に近づいてきた印象です。
ようやく日本株も世界的なインフレの流れや期待を背景に、前向きな相場環境になってきたのではないでしょうか。
ーーなぜここまでAIが期待されているとお考えですか?
技術革新の観点から見ると、この「AI革命」というのは、インターネット革命やスマートフォンの普及に並ぶ、いわば「ハイテク三大革命」のひとつになるほどのインパクトがあります。
実際、すでに社会の仕組みが変わりつつあるのです。AIを使ったことがない人にはまだ実感が湧かないかもしれませんが、インターネットやスマホのときと同じように、気づかないうちに私たちの生活に深く入り込んでいくでしょう。そうした意味でも、AIの影響力は非常に大きいと思います。
また、円安が進行しており、インフレ傾向が続いている点も株価上昇の要因です。企業の価値が変わらないままで円安になれば、株価は円建てで見れば当然上がります。企業業績も実際に好調で、最低賃金など賃上げの動きも見られます。デフレに慣れてしまった日本経済にとっては、「インフレの時代に変わった」という意識の転換が求められる局面だと思いますね。