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高市首相の「存立危機事態」発言に韓国SNSユーザー「喧嘩したいなら海上で勝手にやれ。こっちを巻き込むな」一方でなぜか韓国の保守層からは高市歓迎の声も

(c) AdobeStock

 高市首相の「存立危機事態」発言で東アジアの安全保障が揺れている。お隣の韓国国民はこの事態をどのように捉えているのか。韓国事情をウォッチしているライターの安宿緑氏がレポートするーー。

 みんかぶプレミアム特集「高市首相の正念場」第5回。

目次

高市首相就任のニュースに韓国保守層がSNSで歓迎

 2025年10月21日、日本で初の女性首相となった高市早苗氏の首相就任のニュースは、韓国SNSでも瞬時に拡散された。その反応は、韓国政治特有の「保守vsリベラル」の分断構図そのままに、見事なほど真逆の色を帯びた。

 韓国政治はもともと二大陣営化が顕著で、有権者の立場、地域、年齢、社会観が左右をくっきり分けることが各種研究でも示されている。

 多くの韓国人が使用するSNSであるX(旧Twitter)、NAVER、DCインサイトなどの中でも、もっとも反応が早かったのはやはりXだった。就任直後から日米首脳会談、李在明大統領との会談へと続く外交日程を見て、保守系とみられるユーザーたちは歓迎一色になった。

「知り合いなら仲良くなれそう。自分の“声”を持ってる。思想が違っても尹錫悦よりマシ」

「韓国メディアのせいで偏見を持っていたが、芯がある人に見える。日本人が好きな理由がわかる」

 また、保守派のユーザーの間で話題になっていたのがとあるショート動画だ。

 そこでは、2023年9月25日のIAEA総会で中国側代表が福島原発の処理水を「核汚染水」と自ら発言したことを受け、当時科学技術担当大臣として出席していた高市氏がきゅうきょでペンを走らせ即興で原稿を作成、登壇し英語で反論した様子が収録。この“勇姿”を絶賛する声が相次いでいた。

「見れば見るほど好感が持てる」

「政治家はあのように仕事しなければならない」

「このような人が韓国の政界にもいれば左派たちは手も足も出ないだろうな」

「李在明はこの総理の0.1%にも足りていない」

「本当にかっこいい。うらやましい」

韓国保守層が高市氏を評価しやすい背景…韓国SNSユーザー「高市総理は絶対守らねばならない」

 ここで韓国保守層が高市氏を評価しやすい背景には、韓国保守が「韓日協力=共産勢力(中国、北朝鮮)牽制」という世界観で政治を見ているという特徴がある。

「日本はリーダー1人で良くなる」

「日本人ファースト掲げて当然」

 といった直球の賞賛が並び、彼らは高市氏の率直な国益志向を魅力と捉えているようだ。とりわけ李在明氏との会談で太極旗に一礼した行動は、

「ノーノージャパンと煽ってきた連中とは大違い」

「高市総理は絶対守らねばならない。本当に優秀な方だ。韓日両国が仲直りして未来へ進めることを祈る」

 などと、好意的に受け止められた。

韓国のリベラル層「安倍の後ろにピッタリついて極右とつるんで政治してきた人だから、実力なんてない」

 一方で、韓国リベラル層は初手から辛辣だった。

「安倍の後ろにピッタリついて極右とつるんで政治してきた人だから、実力なんてない。すぐメッキが剥がれてあちこち揺らいで退陣するのは目に見えてる」

 彼女の外交・安全保障に対する姿勢について、

「高市の発言が日本の世論調査で48%の支持を得ているのを見ると、原爆二発食らってもアタマは割れなかったんだな」と敵意をむき出しにし、就任会見で韓国海苔や韓国コスメに触れた件も、

「これまでの行いがあるのに、猫なで声で媚びても騙されない」

 とバッサリ切り捨てていた。

高市首相の「存立危機事態」発言に韓国SNSユーザーはどう反応したのか

 議論が一段と加熱したのは、11月7日の予算委員会だ。高市氏が台湾有事を「存立危機事態」と発言し、中国側が猛抗議。日中間の応酬が始まると韓国ネットユーザーたちもざわついた。

 だが、それは「巻き込まれたくない」という感情が中心となったもので、

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この記事の著者
安宿緑

東京都生まれ。ライター、編集者。韓国心理学会正会員、米国心理学修士。著書に『実録・北の三叉路』(双葉社)、『韓国の若者』(中公新書ラクレ)

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