2人でパート、娯楽カット…40後半で3000万円ローンを組んだ夫婦の過酷すぎる老後

年下上司に仕えるのは「気持ちが切り替わらない」
一時期、早期退職に関する相談が相次ぎました。最近でも相談件数は大幅に減少したものの、早期退職に関する相談はポツポツくる。FIRE(経済的自立と早期リタイア)の影響もあるのですが、筆者のところはどちらかといえば会社での人間関係などに端を発して早期退職が多いようです。相談者には大変失礼にあたるかもしれませんが、諸外国のような新たな人生を踏み出す「前向きなセカンドライフ(ハッピーリタイアメント)」ではなく、「やや後ろ向きな早期退職(アンハッピーリタイアメント)」という感じが強いのが気になるところです。早期退職に至る要因はさておき、早期退職をする際の鍵は「住居費を含めた基本生活費」が握っているといえるでしょう。もちろん資産額も早期退職が可能かどうかの鍵の1つですが。以前、筆者の元に早期退職で相談にいらした有村さん(仮)と田口さん(仮)の例をあげながら、早期退職が可能かどうかを探ることにしましょう。
有村さん、田口さんは共に年齢は50歳前後。ピーク時年収は1000万円を上回っていましたが、相談時には1000万円を下回っていました。共に妻は専業主婦ですが、田口さんの妻はパートをしていました。有村さんには大学生、田口さんには大学生と高校生の子どもはいますが、教育費の準備はほぼ済んでいることから、実質的な教育費負担は終わっているといえる状況です。2人の会社は異なるものの、共に役職定年が1年以内に迫り、また部署が変わって閑職に近い扱いとなることが決まっているので、やる気を無くしつつあります。
今の50歳代の心境を考えれば、年下の上司に仕えることにすぐに気持ちが切り替わらないこともやる気をそがれ始めている要因の1つと言えるでしょう。やる気に加え体力も衰えつつあることで少々体調が芳しくなくなり、また転職する気力もないことから早期退職できないのかと相談に来られたのです。閑職扱いに近いとはいえ、一時期流行った「追い出し部屋」への配置転換ではないことは記しておきます。