偉業達成の大谷翔平はなぜ米国民にこれほど愛されるのか…ママを熱狂させ、27億円の広告が動く野球以上の「何か」

「天使のお告げを受けていた」ヤクルトの幸運
今から5年前の2017年、大谷翔平選手がエンゼルスに移籍するというニュースが全米で報じられた時、私の周囲では「オータニって誰?」という空気が流れていました。二刀流への挑戦も懐疑的な声が大きかったですし、「また新しい日本人選手がアメリカに来たのね……」というのが率直な私の感想でした。
私は米国カリフォルニア州ロサンゼルスに住んでもう20年になりますが、ロサンゼルスっ子にとって野球チームといえばやっぱり「ドジャース」。当時、アメリカ生まれの2人の息子と夫に「エンゼルスの試合に行かない?」と聞いたところ3人とも「ドジャースの試合なら行きたいけど……」とつれない感じ。これが5年前の大谷選手とエンゼルスに対する巷のイメージでした。
そもそもなぜ、私が家族をエンゼルスの試合に誘ったかといえば、当時球場で流れていたヤクルトのCMを弊社(広告代理店)で制作していたからです。結局会社のスタッフを連れて球場に行きましたが、チケットは試合数日前でも簡単に買えたのを覚えています。
ちなみに弊社がお手伝いしていたヤクルトは、エンゼルスの球場のすぐ近くに米国工場を建てたため、大谷選手がくる前からスポンサーをしていました。その後、大谷選手の大活躍によりスポンサー費は高騰したわけで、ヤクルトは「天使のお告げ」でも受けていたかのような幸運を手に入れたのです。