なぜ日本人は太平洋戦争に興味を持てなくなってしまったのか…マスコミの自分勝手な戦争報道にマンネリ化

盛り上がりに欠ける終戦記念日。なぜ、人々は「あの戦争」に関心を持たなくなったのか?
今年も8月15日がやってきて、NHKなどは連日、戦争に関する特番を放送した。ニュース番組でも、各地で行われている「戦争を語り継ぐイベント」を地方ニュースとして取り上げ、戦争を経験した当事者と、その経験に耳を傾ける若い世代を画面に映し出していた。
アジア・太平洋戦争に関する書籍も、7月あたりから終戦記念日までの1カ月の間に刊行するのが「季節もの」の感があり、2022年も例にもれず『日本軍が銃をおいた日――太平洋戦争の終焉』(早川書房、名作の復刊シリーズ)、『中国の「よい戦争」――甦る抗日戦争の記憶と新たなナショナリズム』(みすず書房)や、現在進行形の歴史をも含んだ『戦争とデザイン』(左右社)などが刊行されている。
それでも、何か今年の終戦記念日は「盛り上がり」に欠ける。人々が「あの戦争」について語り、時に日本国内の右派左派、あるいは日本と中韓が衝突し、大きな話題になるということが起きていない。人々は「アジア・太平洋戦争」への関心を失ってしまったのだろうか。だとすればその理由は何か。
“現在進行形の戦争” ロシアのウクライナ侵攻が大戦の記憶を押しやり…テレビは無知で陳腐な戦争企画を繰り返す
まずは言うまでもなく、「ロシアがウクライナに侵攻した」、つまり「現在進行形の戦争が起きている」ために、先の戦争どころではないという要素が挙げられるだろう。
もちろん、ロシアのウクライナ侵攻に対して、「あの戦争」を重ねて見る人たちは多くいる。8月15日当日のNHKでは、「ウクライナの子供たちや、遺体を埋める様子をテレビで見ていると、戦争で亡くした妹を埋葬した時のことを思い出す。なんとか、ミルク一つでも届けてあげたい」と話す高齢者の姿が放送されていた。