これは打ち出の小槌だ! …ETFで「喜びを噛みしめる毎日」を送る40代個人投資家

ETF(上場投資信託)には投資信託と異なるルールがある。そのルールをうまく利用することで、投資効果はアップする。気になるETFを買う前に押さえておきたいポイントについて、40代半ばでFIREを達成した桶井道(おけいどん)さんが、株初心者にもわかりやすく解説する。全3回のうちの2回目。
※本稿は、桶井道『月20万円の不労所得を手に入れる! おけいどん式ほったらかし米国ETF入門』(宝島社)の一部を抜粋・再編集したものです
第1回:ほったらかし投資「超」入門…月20万円の“じぶん年金”を生み出すETFの錬金魔法
第3回:やっぱり「とりあえずS&P500を買っておけ」が投資の真理である理由…ウクライナ侵攻が「強さ」を証明した
忙しいあなたには、夜のうちにできるETF
海外市場に投資する投資信託は、一般的に、購入の申し込みをした日の最短でも翌日、ゴールデンウィークなどを挟むと何日も過ぎてから約定します。米国のS&P500やナスダック100といった株価指数に連動する投資信託の場合、購入申込をした日が平日なら、夜中に米国株の株価が動き、さらに為替レートも動きます。
ETFなら、株式市場での値動きを見ながらリアルタイムで買えます。「今まさに大きく下落しているから、安値で買っておきたい」といった瞬間に購入(スポット買い)できるのも、ETFの魅力の一つです。
また、投資信託の場合、「この基準価額で買いたい」と指定する「指値注文」はできません。その点もETFなら個別株と同じように、価格を決めて指値注文を入れられます。「値段を指定せず今すぐに買う」という「成行注文」もできます。決しておすすめはしませんが、デイトレーダーのように「ちょっと上がったから売って、ちょっと下がったから買う」という短期売買もできます。
東証ETFは「価格×口数」で購入金額が決まります。その日の価格が1万3000円で売買単位が1口のETFなら、最低1万3000円から買えます。2口買いたいなら2万6000円を出せばOK。成行注文の場合は、価格を自分で決めなくてもよいので「口数」だけ指定して注文するのです。
日中に取引できないなら、前日の夜に注文を入れておけば、翌朝、取引が始まるとき(寄り付き)に約定するでしょう。個別株で値動きの激しい銘柄の場合、安易な成行注文は思わぬ価格で約定することもあるのでおすすめできませんが、S&P500など分散がきいている東証ETFならこの方法でよいと思います。
初心者にオススメの買い方をお教えします
投資信託では、毎月、定額を銀行引き落としやクレジットカード決済で購入する自動積み立てサービスが充実しています。しかし残念ながら、大手ネット証券で東証ETFの自動積立サービスはないので、自分の手で毎月注文を入れる必要があります。
また投資信託の場合はネット証券なら100円から、自分が投資したい金額できっちり買えます。その点、東証ETFは「そのときどきの市場価格」×「買いたいETFの口数」での購入になるので、月々の投資金額をぴったり一定にすることはできません。
大手ネット証券では「定額で買えない」「自動で買えない」の二つが、東証ETFで長期積み立て投資をするときのデメリットです。だからこそ、なるべく手間をかけずに購入する仕組み、言い換えれば「習慣」をきちんと作ることが大切なのです。
積み立て投資を行うときに毎月、「今月はいくらで指定しようかな」と考えながら買うのは面倒でしょう。仕事が忙しくて、買いそびれてしまう月が出てくる可能性もあります。そう考えると、初心者は「価格がいくらでもいいから買い」という成行注文で機械的に毎月買っていく形でよいのではないでしょうか。「この日に買う!」と決めた日に、パパッと「◯口、成行で買い!」という注文を入れれば約定します。
このとき、毎月だいたい同じくらいの金額を買っていきましょう。そうすれば、ETFの価格が安いときにはたくさん買えて、高いときには少ししか買わないで済みます。
たとえば「毎月5日はETFの日!」と、マイルールを決めておくのはいかがですか? 「今、価格が高いから、もう少し待とう」などの投資判断はせずに買いましょう。
毎月決まった金額を購入しつつ、「ちょっと多めに買いたいな」というとき、余裕資金を使ってプラスで買い付けられるのがETFのメリット。毎月同じくらいの金額で買っているETFが前月より10%下がったら、何も考えずに10万円ほどスポット買いする、などのやり方もいいでしょう。
なお、ETFに投資している金額が少ないうちは、分配金だけで再投資することはできません。振り込まれた分配金はETFの1口分に満たないため、再投資する場合は追加で資金をプラスする必要があります。私自身もそうしています。手間はかかりますが、老後の〝打ち出の小槌〟を作るための手間だと割り切ってください。私はむしろその手間に喜びを感じています(笑)。
ネット証券会社、私ならここから選ぶ
投資信託は、コストを気にしなければ証券会社だけでなく、銀行や保険会社などでも購入できます。一方、ETFは株式市場に上場しているため証券会社でしか購入できません。また、窓口のある大手証券で買うと、個別株と同じように売買手数料を支払う必要があります。もし売買手数料を節約したいなら、ぜひネット証券に口座を開いてください。
大手のネット証券ならどこでも大丈夫ですが、私がおすすめするのはSBI証券と楽天証券です。なぜなら、この2社は東証ETFおよび日本株の取引では、約定代金(その銘柄を買うために支払う投資資金の総額)が100万円以下なら売買手数料が0円になる1日定額プランの取引コースがあるからです。買うときも売るときも、1日100万円以内で売買するようにすれば売買手数料がかからないのは、ありがたいことです。売買手数料が無料になる米国ETFの種類も、SBI証券と楽天証券は豊富です。
また、ネット証券によっては一部の東証ETFを、「選んだ取引手数料コースにかかわらず無料」としている場合も。ぜひ上手に利用してください。

桶井道『月20万円の不労所得を手に入れる! おけいどん式ほったらかし米国ETF入門』(宝島社)