日本の中国進出「最終結論」…見えた!14億人市場「ボロ儲け企業」と「大損失企業」の決定的な違い

中国は1990年代に「世界の工場」として成長し、2000年代には「世界の市場」としてさらに成長を続けた。だが今、中国経済はあらゆる面で大きな曲がり角を迎えている。潮目が変わりつつある中で、日本企業は中国戦略をいかに進めるべきなのか。みんかぶプレミアム特集「丸わかり中国経済」第4回は、日本企業の対中ビジネスの現状と今後を展望。日本企業への投資判断の一助としたい。
目次
ウクライナ、ロックダウン、台湾有事…逆風続く日中ビジネスの現状
今年は、1972年に田中角栄と周恩来の握手によって実現した日中国交正常化から50周年の節目の年だ。本来ならば、調印日である9月29日に向けて、両国で様々な記念行事が行われたり、テレビで関連番組が放送されたり、盛り上がっていても不思議ではない。だが、そのことを意識する人は今、日本にどれくらいいるのだろうか。
無理もない。習近平政治の専制化や、米中覇権争いというこの10年の流れの中で、ただでさえ日本人の対中感情が悪化している上、今年に入ってロシアのウクライナ侵攻、強引な上海ロックダウン、ペロシ訪台による軍事威嚇など、日中関係を大きく損ねる事態が続出している。これまで何度か、“戦後最悪の” という形容詞で語られたこともあった日中関係だが、いまこそ紛れもない、“最悪の日中関係” ともいえるような状態に陥っているのだから。
とはいえ、今や中国は、日本経済の死活を左右する存在になっている。実際、昨年、財務省が発表した2021年の貿易統計によると、日中間の貿易総額は3914億ドルと過去最高を更新。これは日本の貿易総額の22.9%を占め、2位のアメリカを引き離して、2007年以来、15年連続で最大の貿易相手国となっている。
日本経済の生命線、輸出の相手として見ても、2021年の中国への輸出総額は2000億ドルを初めて超え、2061億ドルと過去最高を更新。輸出先としては、この10年、アメリカと中国はトップの座を争って、抜きつ抜かれつだったが、昨年はアメリカの17.8%に対して中国は21.6%と差が拡大している。
「確かに日中関係の悪化が懸念されていますが、統計数字を見る限り、ことビジネス面では、中国は今でも日本にとって重要なパートナーであることには変わりがありません」。こう解説するのは、日本貿易振興会(JETRO)で対中貿易調査を担当する宗金建志氏だ。JETROの担当者といえども、コロナ禍以来の渡航制限の中で、渡中の機会が著しく減り、現地の状況を肌身で感じることは難しいというが、喧伝されているような対中感情の悪化にもかかわらず、日本企業の中国進出の意欲は衰えていないという。
鬼門の中国進出…なぜ、うまくいく会社はうまくいくのか
実際、みんかぶマガジン編集部がPR会社、ネタもとを通じて8月に行ったアンケートでも、中国ビジネスに意欲を示す企業経営者の声が目立った。